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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-02-25 20:58:55.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『決意の夜に』その35(完)

「………で、どうすんだい?」
一夜明け、とはいえ時間にしてわずか数時間だというのに、布団で身動きの取れないイルマを前に、ミアキスは包帯こそ巻かれているが、ぴんしゃんと仁王立っている。
やはり化け物だ、とは誰もが口が裂けても言えないが、何となく考えは3人の顔に貼り付いたどん引きの表情と目線でバレている気はする。

「兎にも角にも…罪を償うのが先です」
会場における器物破損に強盗行為、警備員の中には入院を伴う怪我をさせてしまった者もいるだろう。
全てが終わった今、償いはしなければならない。

「…何とかなんないのかい、ヒッサァ?」
「無茶を仰る…。でもまあ、そうですね。気絶した私と共に孤児院に残されていた呪炎。あれは今、メギストリスでちょっとした騒ぎになっていましてね。その発生源を絶つ為であったと言えばまあ、情状酌量は通るでしょう。これは、回収できたことですしね」
ヒッサァはひらひらとエクステンドグローブを持ち上げてみせる。
事が終わり、イルマとしても、もはや必要は無くなったのだ。

「しかしそれでは…」
許されていいはずがない。
偽りの存在とはいえ、イザベラの命を断ったことに対する罰を受けねばという気持ちが、イルマを縛っているのだ。
「…償い方は、いくらでもある。あの子達には今すぐ、イザベラに代わる家族が必要だ」
「あ…」
恐る恐ると部屋の中を覗き込む子供たちと、目線がぶつかる。
不安と戸惑い。
イザベラ先生の教会に辿り着く前の自分と同じ瞳が並んでいた。

「アンタは、あの子達の姉にあたるわけだし、適任だと思うがね」
復讐の先など、これまで考えたことがなかった。
先生が最後にくれた言葉を、反芻する。

しかし、いつか訪れる終わりであったとしても、自分はいわば、彼らにとって先生の仇にも等しい。
それは流石に、おこがましい話だ。

そんな逡巡するイルマの背中を、ミアキスはそっと後押しする。
「色々、押し付けるような物言いをしちまった上で、なんだが。…アンタは、どうしたいんだい、イルマ」それは、目標などという確かなものではない。
無理にでも名を付けるのであれば、憧れとようやく呼べるような曖昧な代物だ。

それでも。
「………………………先生の、あの人の生き方を、辿ってみたいと思います」
「…そうかい。ま、そういうわけで、さっきの案、何とか色々頼んだよ、ヒッサァ」
「仕方ないですね…。イルマさんと再び暮らせますようにというのが、貴女の依頼でしたし」
「ばっ…!下働きが皆辞めちまって、人手が足りないからだよ!みなまで言う馬鹿があるか!!…ああ、もう!坊主ども!!腹減ってるだろ!何が食いたい?片っ端から、作ってやるよ!」
真っ赤になった顔をイルマに見られぬよう、子供たちを引き連れて、ミアキスは逃げるように一階へと降りていく。

「…良いお母さんですね」
「ああ…。私は本当に…出逢いに恵まれた…」
「………母さんだなんて冗談じゃないよ!姉さんだ、姉さん!ミアキスお姉さん!!ほら、復唱してごらん!」
しんみりなんてさせるものかとばかりに、階下から子供たちにとんでもない無茶を言う声がする。

本当の親は顔すら知らない。

それでも私には、二人の母がいる。
イザベラ先生と、ミアキス師匠。

おかげでこれからも、歩いていける。
自分の人生を、しっかりと。

やがて、『虎酒家』は中華飯店兼孤児院などという、摩訶不思議な業態へと変貌を遂げ、高名な我流の武闘家を何人も輩出することとなるのだが、それはまだ、少し先の話である。
                     ~完~
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