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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-06-10 23:55:46.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『アカックブレイブ・デュアル』その40

『羽虫共ガ!』
充分なクールタイムを経て、ドルセリオンを殴り飛ばし、ドルブレイブの面々を一蹴した際にも用いた高速移動に要するエネルギーが再度充填された。

「ココソー!使って!!」
ユートピアの身体にまとわる帯が光り輝く様子を見て、おきょうが叫ぶ。
「任せろ!」
おきょうが投げたドルセリン管は見事ココソーの手に収まった。

初期試作型のアカックブレイブスーツ、後継機には廃されたあの機能は勿論、ココソーも熟知している。
「ドルセリン…チャージ!ブーストっ!!」
正真正銘最後の一本、追加投入されたドルセリンその全てを燃やし、ドルボードのチャージブースト同様にココソー自身がユートピアと同じ高速の領域へ加速する。

おきょうが一度瞬きを終えるまでの刹那に、加速したユートピアとココソーは50回に及ぶほどに拳と刃を交えた。
互いに一歩も譲らぬ打ち合い、しかしほんの僅かに、ココソーの剣速をユートピアが上回る。
既に一本を手放し残りの一振り、なけなしのフォトンサーベルが宙を舞った。

瞬間、わずかにユートピアの視線はサーベルを追ってココソーから反れる。
勝ちを確信した時、その油断が、一番の隙を生む。

ココソーはユートピアの真横に並ぶほど深く踏み込んで、腹深く拳を埋め、切れかけの加速力と最後の力を注ぎ振り抜いた。
くの字に折り曲がり吹き飛ぶユートピアであったが、拳によるダメージは大したことはない。
このままの速度でいけば数秒とおかず山肌にぶつかるだろう。
すぐさま舞い戻り、フォトンサーベルを拾われる前にケリをつける。

いや、待て。

フォトンサーベルを弾かれてからの切り替えが早過ぎはしないか。
渾身の一撃であれ、とどめを刺すには至らないこの拳を当てることだけをそもそも狙っていた?

何の為に、と演算する時間は、ユートピアに残されていなかった。
トン、と嘘のように軽い衝撃と共に、フォトンサーベルが背中から胸を貫いている。
「ナ…ァ…」
急速に思考が鈍化し、動かすこともままならなくなっていく首を捩って何とか振り返った先には、戦闘中にココソーが地に突き立てたフォトンサーベルを拾い、正中に構えたアカックブレイブが立っている。

ココソーとユートピアの加速が解けたのは、この時であった。
固唾を飲んで見守っていたおきょう達からすれば、セ~クスィ~が何も無い所でフォトンサーベルを構えた次の瞬間には、そこにユートピアが突き刺さっていた。

事前の打ち合わせなどあろうはずもない。
戦場に積もり積もった偶然を結び、ココソーとセ~クスィ~が、互いにアカックブレイブならばどうするかを、寸分違わず予想しやり遂げた。

フォトンサーベルが貫いた箇所、機体に内包されたゼキルの聖杭を中心として、脈を打つようにユートピアの身体全体をワクチンプログラムの波動が包み、同時におきょうの端末上のユートピアの熱反応も薄れていく。
狂った理想郷、世界を滅ぼすプログラムはその存在を紐解かれ、0と1の地平の彼方へ薄れて消え果てたのであった。

頭脳にあたるユートピアを失った機体が膝から崩れ落ち爆散するさまを、ケルビンはモニター越しに頬杖をついて見守った。
「その通りだ。動きは衰え、思考は鈍り、やがて朽ちて果てる。………しかしその間に、我々は成長という変化を果たす」
ユートピアは実に多様な能力を秘めていたが、それらは所詮、そうあれと作られ持ちあわせた物に過ぎない。

「定められた性能、与えられた機能、500年の時を得ながら、自らを変えることの出来なかったお前の敗北は、やはり必定だったな」
憎たらしい事に、アカックブレイブは勿論のこと、意識こそ失ったままだが、他のメンバーのバイタルも確認できる。
魔装の防御力、あるいは、戦闘経験からくる身のこなしに阻まれ、結局、ユートピアはただの一人としてくだらぬと吐き捨てた相手を打ち倒す事ができずに敗北したのだ。

「………レイダメテスの堕とし仔…アズランで討滅された影と太陽に続き、これで2体目か」
モタモタしている間に、恐ろしい話だがユートピアとの激戦を経てぴんしゃんしている赤ゴリラにでも見つかったら厄介だ。
隠し通路の先、山向こうの出口に向かい歩み去るケルビンの背を、ガシャガシャと金属音を響かせつつケラウノスマークツーが追うのであった。

そして、大勝利をおさめたとて、二人のアカックブレイブにその喜びを分かち合う時間は、残されていなかった。
                      続く
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