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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-08-23 08:24:19.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『白姫異譚』その28

「それにしても…まさか白姫本人と関わることになるなんて…」
らぐっちょと共に先を急ぐいなりは自嘲気味に呟いた。
事実は小説よりも奇なりというが、何とも出来すぎた話ではある。
「強い思いは姿形を失おうと残るもの…剣舞の内容を考案されたのが歌姫テルルどのということであれば尚更、その高い感受性ゆえに導かれたのかもしれませんなー」
コンサートの警備を引き受けたヒッサァの手伝いで、間近にてテルルのパフォーマンスを体感したことのあるらぐっちょは、さもありなんとその時の感動を反芻した。

何にせよ幸いなのは、らぐっちょの話からヤマが無事な可能性が高まった事だ。
ヤマに憑依した白姫が庇った様子から、ヤマと共に転移したゾンビ体の天魔は白姫と心を交わした男が転じた姿であろう。
回想の中で命を落としたように見えた彼が何故、悠久の刻を経た今なお活動しているのは謎であるが、背景を知れば、危害を加えるようには思えない。

問題は白骨体、本来の天魔である。
生贄となるはずだった白姫はもはや魂のみとなっている。
それをなおも付け狙うのは、魂だけでも取り込むことに何かしらのメリットがあるのか、はたまたヤマの身体もろともに喰らおうというのか。

果たして天魔の狙いを読み違えていたのは、とうの白姫と男も同じであった。

「あれは…!ヤマ!!」
行く道の先に倒れるヤマの姿を発見し、すぐさま駆け寄りそっと抱き起こす。
その額の中央に薄ぼんやりと浮かぶ一本角に、僅かに開いたまぶたから覗く、紅く染まった瞳。
ヤマは未だ、白姫の魂の支配下にある。

「…お願い…天魔をとめて…彼が…飲まれてしまう…」
突如として大地が大きく揺れる。
地を割り雪の塊を巻き上げて、飲まれるの言葉どおり、かたやゾンビ、かたや白骨であった2体が混ざりあい、四腕四脚の歪な巨体がのたうつように地中から姿を現した。

「ほげーーーっ!?」
白姫の回想の中で天魔の姿を垣間見ているらぐっちょであったが、流石にここまで変貌を遂げた醜悪な姿に驚きの声を隠せなかった。
身構えるいなりの目の前で、不意に天魔はバランスを崩し倒れ込む。
脚は多かれど、もとより四足獣ではないその作りに加え、身体の支配権を巡り未だ天魔と男はその身の内で争いを続けているのだ。
これではまともに動けようはずがなかった。

それが正解かなど解らないが、白骨部を攻撃し弱らせる事が助けになるかもしれない。
「…妹を頼みます」
ヤマとらぐっちょを背に庇い、柄に手を添える。
戦闘要員としてらぐっちょを数えていなかったいなりだが、ヤマを岩かげに避難させたらぐっちょは舞い戻り不敵に微笑んだ。

「こういう時、毛皮は大変便利なのですぞ」
らぐっちょはもぞもぞと腹のあたりをまさぐると、神主の仕事の狭間にコツコツと組み立てたガジェットを懐から取り出す。
「はっ!?」
確かにプクリポの毛並みはフカフカとはいえ、その身長を上回る火砲が飛び出すものだから、いなりは度肝を抜かれた。

プクリポの腕力でも狙いをしっかりと定められるよう、展開されたバイポッドがしっかりと雪原の大地を噛みしめる。
「チャージまで時間を稼いで欲しいのですぞー!」
「簡単に言ってくれますね…!」
悪態をつきつつも困難は望むところ、ちろりと唇を湿らせると二刀を抜き放ったいなりは未だ泥試合を続ける天魔の融合体に近づき、天魔の注意をらぐっちょから逸らし、また、少しでも天魔に抗う助けになればと白骨を削っていく。

「御利益充填満タン…!アブソリュートレイ!!喰らいやがれですぞーーーっ!!!」
らぐっちょの身の丈を上回る直径の眩い金色の光線が白骨部目掛けて迸る。
ぎりぎりまでそれを我が身で隠し、着弾の直前でいなりは高く身を翻した。
完璧な連携もしかし、決定打とはなり得ない。

「…止めたァ!?半年分の御利益ですぞー!?」
そも、神主とはいえ黄金鶏神社の御利益を勝手に前借り、光に変えて放出するというらぐっちょのアブソリュートレイの構造も極めて謎ではあるが、こちらも非常識に天魔は左側二足を揃えた華麗な後ろ回し蹴りで光線を押し留めてみせる。
間一髪の所で下半身の支配を完全に天魔が握ったのだ。
光線と化物の脚がギリギリと拮抗し、周りの雪が蒸発し霧となっていく。

「むおおっ!あと一押し!さらに半年分追加ですぞーーーッ!!!」
らぐっちょの鬨の声とともに、アブソリュートレイの輝きが増す。
向こう1年、黄金鶏神社は大凶しか排出しないことが決定した瞬間であった。
                      続く
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