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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-09-19 23:37:26.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『白姫異譚』その36

「お、ヒッサァじゃないか。団体引き連れてたあ、たまには店孝行してくれるじゃ…って、何だいあんたら!どいつもこいつも、傷だらけじゃないか!うちは病院や教会じゃないっつうんだよ!…おい、イルマ!湿布と包帯、消毒薬に薬草ありったけ持ってきな!!」ヒッサァの姿を見るなり、恰幅の良い女主人、ミアキスの豪気な声が店内に響き渡る。
「はぁん?何だってそんな…あ!アンタ!」
二階から抱き抱えた子供に髪を引っ張られながら怪訝な顔であらわれたイルマは、客の中に見知ったばかりの好敵手を見つけ声をあげた。
「や、奇遇ね。早速お邪魔するのだわ」

腹が減っては戦はできぬというのに、いなりをはじめヤマもテルルも、天魔の襲撃を受けてからこのかた、ろくに飯を食っていない。
傷の手当も各自おざなりのまま、凱旋ついでのエルトナでカミハルムイのいなりの屋敷へ向かう道すがら、寄り道に組み込めないこともないヒッサァ一押しの店、『虎酒家』に駆け込んだのだ。

「ひぃ、ふぅ、みのよのごの…」
虎酒家の女主人、ミアキスの人数を数える指がはたと止まる。
「食材の持ち込みは受け付けてないよ!!調理済みなら尚更だ!」
「そりゃいささか激しくしばかれましたけれども、大鶏排じゃないですぞー!!?」
あくまでも、らぐっちょを助ける為のいなりの緊急措置の結果、やや平べったくなってしまっているとはいえ、屋台グルメと勘違いされるのは散々である。
「何だアンタも客かい、紛らわしい。失礼したね」
誤ってるつもりか失礼の上塗りを重ねながらも、ミアキスの腕は既にテキパキと動いている。

ダンッと机を揺らし、飾り物のような大皿にチャーハンが山と積まれて鎮座した。
その山脈の大きさたるや、らぐっちょを上回るほどである。
「腹ペコなんだろ。とりあえずつまんどきな、ミイラども」
イルマの雑な手当てで言葉の通り包帯ぐるぐるの面々は、立ち昇る香ばしい醤油とニンニクの香りにたまらず両手に匙を握ると米料理の山に登頂を開始した。
「美味っ!いな姉も早く食べなよ!」
まさしく吸い込まれたようにごっそりとヤマの近くの一画が消失する。
「うわ、ほんと」
つられて一口、いなりもその味に感嘆の声をもらした。

とりあえずの一品と言いながら、まずは鶏ガラと昆布出汁で米を炊きベースの味を染み込ませることで、ともすれば主張の強くなってしまう醤油やニンニクを最小限としても旨味が爆発するよう緻密に設計されている。
具材はシンプルに細かくネギとかまぼこ、粗みじんに切った叉焼に卵と、奇をてらわないのがまた嬉しい。一品目にして早くも、いなりはオスシを連れてこなかったのを実に悔やんでいた。

「ほれほれ、テーブル空けな!」
ざんばらに散らばる救急用品を押しのけて、チャーハンのそれと負けず劣らずの大皿が二つ、運ばれてくる。
花椒の香り立つ麻婆豆腐と、唐揚げと茄子・青椒の炒め。
「正宗で良かったろ、ヒッサァ」
「えっ…!」
いつぞやの唇の激痛を思い出し、ヒッサァから思わず驚嘆の声があがる。
「えっとは何だい!?…残すんじゃないよ」
去り行くミアキスの後ろ姿、正宗という単語に馴染みがなく、ヒッサァのリアクションも引っ掛かるものの、チャーハンで助走のついた胃袋の欲求に任せてテルルは匙を挿す。
「あ…そんなに一口でいっては…」
「かっら~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!?」
麻と辣。
ガツンとくる唐辛子の辛味と、ビリビリとスリップダメージを与えてくる花椒のしびれ。
目玉が飛び出るようなコンボに襲われて、窓ガラスが揺れるほどの雄叫びをあげるテルルであった。
                      続く
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