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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-09-23 22:38:05.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『There are miracles waiting for me』その2

「ふぇ?…いたッ!?」
次の瞬間、ユクは無骨な石畳の上に尻もちをついていた。
「え?え!?どこ?ユクのパフェはどこ!?」
「そんな場合じゃ、無い!早く立って!」
マユミが必死にクロッシュウェアの袖を引っ張るが、その質量差、ユクを動かせようはずもない。

マユミの目線の先で、頭上から墨汁をぶち撒けたような影に染まった四本の腕を持つ獅子がその掌に形成する闇のエネルギーの塊をユク、正確にはユクの後ろに居る何者かへと投げ放つ所であった。
ユクの探し物は斯様に毒々しいスイーツではない。
色彩のせいで分かりづらいが、その腕は何故だか三本指で竜を思わせる鱗に覆われており、瞳も漆黒に血走って常軌を逸している。

「そこの方、危ない!メラミッ!!」
間一髪、直撃コースにあった念じボールのみを狙いすまし、ユクの頭上に突き出された竜をあしらった両手杖から3つの火球が迸る。
衝突と対消滅の熱風に煽られながらユクが見上げれば、金色の瞳と目があう。
パープルとラベンダーの中間、落ち着いた色合いの長髪の女性の頭には、オーガと比して太ましい立派な角が生えていた。
話に聴く、盟友ユルールにより再びアストルティアとの交流が結ばれた地、ナドラガンドに住まうという竜族であろう。

そして、未だ冷めやらぬ爆風の壁に物怖じせずに、金色の髪を棚引き、レイピアのような細身のサーベルを構えた赤い影が魔物とユクの間に躍り出る。
「はっ!」
再度漆黒の獅子が放つ念じボールを造作も無く切り裂くと、金髪の少女は距離を詰めるべく駆け出した。
念じボールは通じないと悟ってか、突き伸ばした四本の腕から黒雷が迸り、獅子の頭上で巨大な球体を形成していく。
ドルマドン、しかし獅子の有する魔力故か、その闇の光球のサイズは常軌を逸している。

あれがこちらに向かって飛んできたら…
すぐにでも頭を覆って逃げ出したい。
誰もがそう思うだろう。
しかし金髪の少女は揺るがない。
その足取りに、一瞬の躊躇いも無い。
それが故に、彼女は賛えられるのだ。
そして、目の当たりにした者は皆、その姿に鼓舞される。

余計なお世話かもしれない。
この一手があろうとなかろうと、きっと勝利に変わりはないだろう。
それでも。
「リセットベールッ!!」
今日のユクは、最っ高にツイてる!
「『世界』のカードッ!」
ゾーンに入ったユクは、絵柄を見ずとも叫び、カードを投げ放つ。
その間にも少女はぐんぐんと速度を増し、本来であればタロットカードの効果の外。
しかし神がかりなドローにより、オーラをまとった『世界』のタロットは、勇ましい少女に迫るドルマドンを雲を散らすように見事打ち払う。
「闇にお帰りなさい!」
かくして障害は消え去り、剣に宿る金色の輝きが鋭く突き立てられると同時、破壊神の腕を四本も生やした獅子の影は波に攫われる砂の城のようにほどけて消えた。

「助かりました~!大丈夫?お怪我はないですか?」振り向き駆け寄り、差し伸べられた手を取って、ユクは立ち上がる。
見間違えよう筈もない。
とある魔族の盟主とともに魔界を旅した折に垣間見た、勇者アンルシア、その人である。

「………キルル」
一連のあらましを天守閣で眺めていた盟主は、抜き足差し足で逃げ出そうとしていた従者を冷たい声で呼び止める。
「はっ、はいぃ!!」
「何故彼女が選択もないままに不正解者のもとへ送られたのか」
「あ~………えっと…それは…」
ローブの闇の中に浮かぶ盟主の瞳はまるで蛍の光のようで、感情を全く窺い知れないのが逆に恐ろしい。
「…まあ、よい。不手際があったようだな。特例だ、脱落者の二人、飛び入り参加の一名も含め、先へ進めるものとしよう」
盟主が再び宙に浮かぶ写し鏡を見やれば、ユク達の目の前に監獄の入口のような扉が現れる。
用心しつつ潜るアンルシア、竜族の女性に続き、未だ状況を飲み込めないユクとマユミが恐る恐るあとに続く様を淡い双眸がじっと見つめているのであった。
                      続く
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