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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-11-19 20:22:42.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『There are miracles waiting for me』その19

「…何かないか…少しでも参加者の助けになる何か…」
意識を失っている間に城塞は制御を欠き、部屋という部屋全てに封じていたアストルティアの民の悪夢がモンスターへと形を結びひしめいていた。
再度の封印をキルルに委ね、盟主は必死に策を練るが、初めての事態に遅々として対策は浮かばない。
「…盟主様、これを!!」
そんな中、不意にキルルは部屋を映す無数の鏡面のうちの一つを盟主の前へ差し出した。

「ふっ…!」
剣が風を巻き上げ、立派なヒゲを蓄えた4本角の頭が胴と別れて宙を舞う。
本来両手で振るうべきバスタードソード、オーガ種の恵まれた体躯があるとはいえ、まるで片手剣のように軽やかに扱う特異なバトルスタイルは、天性のセンスに加え想像を絶する鍛錬の賜である。
「………よぅし、だんだん分かってきたぞ」
出会うモンスターは全てが黒く染まっていて正確な判断はつかないが、今斬り捨てたのは恐らくヘルバトラーだろう。
剣を構え直し先を睨めば、行く道にはまだまだモンスターがひしめいている。
変様はまちまちだが、どの個体も角が増えていたり、1つ目になっていたり、見覚えのあるモンスターのそれとは何処かしら齟齬があって、よりおぞましい姿になっていた。

何より厄介なのは、ちぐはぐなその強さである。
ヘルバトラーがあっさり水風船でも割るかのように倒せたかと思えば、何の変哲もないスライムが左手に握るカイトシールドを大きく凹ませる程の流星の如き体当たりを見舞ってくる。
転移前、クマヤンの説明によれば、この城塞に閉じ込められているモンスターはアストルティアの民の恐怖の記憶で形造られているという。
つまりは、よく目撃されているモンスターほど、強い存在として顕現しているようだ。

ぐっと一息に聖水をあおって、空になった瓶を投げ捨てる。
動きを妨げない範囲で持てるだけ聖水を持ち込んだが、当然ながら限りがある。
全てを相手には出来ない。
ぐるりと一瞥し、素早くあたりをつける。
「ギガ、スラスト…ッ!!!」
腰まで届きそうな白髪をたなびきながら、雷光を帯びた一突きの勢いに任せて、記憶を頼りに人里離れた地に生息するモンスターを選んで数珠繋ぎに刺し貫いていく。
それ故、道筋はジグザグに乱れるが、これこそが最短距離。
無駄のない突貫の果てに壁を突き破り、少年は友の下へと先を急ぐのであった。

「…彼に賭ける」
かつて盟主は、この少年を知の祝祭の参加候補に選んだこともある。
種族も性別も歳の頃も何もかもが違うというのに、その雰囲気は何処か、遥かな古にこの城塞の建立に関わった錬金術師を思わせた。
彼もまた彼女と同じく、『錬金術』と『時渡り』、古代エテーネに連なる系譜を持つのだろう。
時の止まっているこの城塞を傷付けられるということは、そういう事だ。
勇気に滾る瞳を見つめ、盟主はこの乱入者が信ずるに値すると判断した。
「キルル!何としても彼を参加者達のもとへ送り届ける!!城を造り替えるぞ!」
「かしこまりました!」
盟主の間の中央に、光をたたえた立方体が浮かび上がる。
キルルと共に制御装置に魔力を込め、少年の向かう先があの部屋に行き当たるよう、突貫工事で部屋を動かし、道を連ねていく。

何体モンスターを屠っただろうか。
何度壁をうち砕いただろうか。
手持ちの聖水は既に無く魔力は枯渇寸前、立派が過ぎる大魔王の鎧は装者同様にあちこちが砕け破れて満身創痍。
今すぐ倒れてしまっても不思議はない。
「助けに来たよ!皆!!」
「「「「「「ユルール!!!」」」」」」
それでも凛とした声とともに戦場に現れた彼の姿は、太陽のように眩しく、皆を奮い立たせるのであった。                      続く
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