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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 海賊
レベル
: 125

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レオナルドの冒険日誌

2023-11-23 09:56:30.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『There are miracles waiting for me』その22

ユルールがまさにお手本のようなダメージの与え方を見せてはくれたものの、アンルシアの剣は細身でその用途に向かない。
ユルールはそのまま竜頭と対峙し、乱入者を迎撃する為にぬらりと伸び出た枯れ木のような2本の腕をアンルシアは警戒する。
言葉はおろか目配せ1つなくタッグを組むと、二人はまるで舞踏会でダンスを披露するかのような華麗なコンビネーションを見せつけた。

ユルールを掴み引き裂こうと左右から迫る鉤爪を、滑り逸らされる前に剣を素早く振り抜くことでアンルシアは矢継ぎ早に打ち払う。
「さすがだね!」
見ずとも耳に飛び込む音だけで、盟友は勇者姫の剣戟を悟り感嘆する。
「そちらこそ!!」
ユルールもまた負けじとバスタードソードを軽々振るい、模造品の竜を何度も打ち据えて、毒息を吐くために大口を開ける隙を作らせない。

「ちょっぴり妬いちゃうくらいに息ぴったりなんだから、もう」
「ええ、まったくその通り」
従兄弟とアンルシアの活躍を微笑ましく見守りながら、メレアーデは時折浮かぶドルマの光球をユクと手分けして撃ち落とす。
ユルールの合流により、形勢はひっくり返ったかに見えるが、ユルールの打撃でもってしてもやはり致命傷には至らず、パーティは壊滅までの時間を先伸ばしにしているだけだと、皆が理解している。

だからこそ、マユミの制止をやんわりと振り払い、エステラは杖を支えに立ち上がろうとしたが、やはり足腰に力が入らず再びドサリと地に伏せる。
早々に脱落した為、自分が一番魔力を残しているのだ。
意識を失うほどに治療を施してくれたイルーシャの手前で、このままおめおめと寝てなど居られるはずもない。
自分に恥じない自分であるために。
イルーシャから治療を引き継いだユクの『女教皇』のタロットの補助を受けながら、もはや這いずるような姿勢から、至近で生じる火球に自らの髪と肌が炙られるのもいとわずメラガイアーを撃ち放つ。

朦朧とする意識の中で、模造品の竜が自らの吐息に火を点けるのをエステラは見ていた。
思った通り、その体表を覆う脂もメラガイアーの直撃を受けて燭台を落としたように一気に燃え広がり、あたりに刺激臭が漂い近寄り難いが、これはまたとない好機だ。
今ならばきっと、刃が通る。

「アンルシア!行くよ!!」
呼ばれて振り返りざまユルールの構えをみて、アンルシアは即座に盟友の意図を悟るが、しかし互いに魔力は尽きている。
今の状態ではあの技には、どうしても1つ、致命的に足りない一手があるのだ。
「大丈夫!僕を、いや、ユクを信じて!!」
ただ一言、信じろと言われれば、もはやそれで迷いなど掻き消える。
足並みを揃えてユルールとアンルシアは駆ける。

アンルシアとユルールが模造品の竜を左右から挟み込む形で位置取り、共にとったその構えから繰り出されるのは、二発のギガスラッシュを重ね掛ける、ユルールの編み出した必殺技。
しかしアンルシアの懸念のとおり、もはやユルールにもアンルシアにも、剣に込めるだけの光の魔力は残されていない。
ただの斬撃では模造品の竜に届きはしないのだ。
それはユクにだって分かる。
そしてこの局面で、『ユクを信じて』と託された理由を、ユクもまたアンルシアと同じく正しく理解した。
千載一遇の機会、このドローにミスは許されない。
ポーチに伸ばした腕、重なったカードの肌をなぞり、これぞと掴み上げる指先、もはや身体のすべてがその親指と人差し指と中指を残して消え去ってしまったのではないかと錯覚する程の緊張が脳を焼き、鼻血が滴る。
絵柄を確かめる度胸はなく、ただ、引き当てたタロットを振りかざし、あらん限りに身体中から掻き集めた魔力を込める。

「「ギガスラッシュ、ダブルクロス!!」」
かざしたユルールとアンルシアの剣に、ユクの解き放った『塔』のタロットの導く雷が降り注ぎ、金色に輝く剣が待ちに待ったと振るわれる。
ユルールとアンルシア、それぞれの全くと言っていいほど隙間ない一撃目と二撃目のギガスラッシュの狭間に、それでも互いのギガスラッシュを見事に噛み合わせ、この二人、いや、ユクを加えての3人にしか成し得ない、怒涛の四連撃が炸裂した。

エステラにより身を覆う脂は完全に焼き払われ、毛皮を剥がれた鼠のような肌が顕になっている。
ユルールとアンルシアの剣が深々と模造品の竜の身体を切り裂くとともに、その身の内から雷が駆け巡り模造品の竜を薙ぐ。
ヒゲの先まで余すこと無く炭と化し、崩れて散っていく様を見守る皆の頭上から、解答時間の終わりを告げるそれと同じ鐘の音が鳴り響くのであった。
                      続く
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