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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-12-10 09:37:46.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『最後の晩餐を虎酒家で』その8

「いらっしゃ~…なんだアンタか」
豪奢なアクセサリーの数々に彩られたバリッバリの営業スマイルが、じにーの姿を見るなり消え失せ、店主は気怠げにカウンターに頬杖をついて、あくびまでした。
じにーに言われた通り、いなりは確かにこの場所、そして、客を前にあくびを噛み殺しすらせず全うした人物を知っている。
むしろ、冒険者であるならば、彼女を知らないなど有りえない。
しかしながら、ここまで砕けきった姿を見ることは勿論初めてだった。

「リーネ!私は一応客だよ客!しかも上得意様っていってくれてもいいくらいだと思うんだけど!?晒すぞ?その接客態度、街かど掲示板に晒しちゃうぞ!?」ヴェリナードのアクセサリー屋店主リーネとじにーは、互いに一流モデルを目指し、良きライバルとして切磋琢磨の日々を送った事もある。
家族と共に店を構えた彼女と道は分かたれてしまったが、友人としての贔屓目を抜きに優れた職人である彼女とは、その後も商売道具のメンテナンスで世話になり、もう随分と長い付き合いになっていた。
それ故に無理からぬ砕けようではあるが、もう少しなんというか、丁寧さが欲しいと思うこともある。

「ちょうど良かった、預かってたレメディピアスなら磨き上がってるよ」
じにーの抗議も何処吹く風、ドラキーメール代が浮いて助かった~とのたまいながら、リーネは預かり物を保管する金庫に手を伸ばした。
ある種のアクセサリーは魔力を帯び、装着者に様々な恩恵をもたらす。
しかしながらその効力を保つ為には微に入り細に入りメンテナンスが欠かせなく、中でも超特一級の技術を持つのがリーネである。
「あ~、それもそうなんだけど、ちょっち他に聞きたいことがあって」
「…ん?高いよ?」
勝手知ったる仲である、じにーのニュアンスを汲み取って、リーネは従業員で妹のミーネに扉の鍵を締め休憩中の札をかけさせた。

「人探ししててね」
「どれどれ…ああ、かげろうさんか」
じにーはとんと存じ上げなかったが、JB一味の用心棒といえば、わりと広く顔が知られている。
「何か知らない?」
「答える前に、理由を教えて」
対価を頂くかどうかは別として、そも、おいそれと顧客の情報を流すわけにはいかない。
じにーに促されたいなりから、大体の事情を聞く。
姿を消してまだおよそ一週間というところはじにーと同じく肩をすかし頬杖から転げ落ちたリーネだが、いなりの心からかげろうを案じる瞳には嘘偽り無いと判断した。
そして何よりも、情報を開示することによる利益を冷静に計算し、口を開く。

「………教えられることは2つだけ。現在、かげろうさんが自分の店に現れた場合、私達商工連合に所属する店主には報告が義務付けられてる」
それはすなわち、武器、防具、道具、宿屋はもちろん、大地の箱舟、グランドタイタス号などの移動手段に至るまで、ありとあらゆる店舗と駅、港にかげろうが指名手配されているということである。
「えっ…!?なんで!?」
「理由は教えられてない。発行元はアストルティア防衛軍、そして…カミハルムイ王家よ」
一度でも店の扉をくぐった相手のことをリーネは全て記憶している。
カミハルムイと告げる前に一呼吸置いたのは、当のかげろうと同じくいなりもまた、カミハルムイに仕える者であるが故の躊躇である。
そして案の定、いなりは言葉を失った。

さらには追い打ちをかけるように、招かれざる客まで現れる。
「いけない子どもだなァ………それは漏らしちゃいけない話だぞ~っと…」
いつの間にやら、鍵がかかっていたはずのアクセサリー屋の扉を開けて佇んでいた女は、二日酔いで糸目に見えるほどに浮腫んだ瞼を一瞬だけ歪に見開き警句を告げた。
頭上目一杯に持ち上げて逆さにした銀色のスキットルから、琥珀色の雫がつうっと1滴だけ滴り落ちる。
「あァ、くそぉ~っ…酒が切れた…」
大蛇のように大口を開け、伸ばしきった舌先で受け止めると、2度3度とスキットルを振ったあと、空になったそれを悲しげに床へ放り投げた。
その飲み口はごく小さいというのに、転がったスキットルから強烈なアルコールの香りが店内に充満していくのであった。
                      続く
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