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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2023-12-17 09:51:19.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『最後の晩餐を虎酒家で』その12

「…バカなの?」
それは明らかな罵倒の言葉であるが、この場においては褒め言葉として使われている。
ヴェリナードに多数建ち並ぶ飲食店の中からいなりが永楽を担ぎ込んだのは、五大陸全土に広く店舗を設ける一大チェーン、ヨネダコーヒー。
中でもここ、ヴェリナード南の店舗は港湾が近く、寄港する船の様子が窓から眺められる人気スポットで、じにーの立ち寄りたい店リストにも該当しており、何よりもアルコール類の提供がない。
飯を食わせるのはついでで、話を聞くのが主目的である。
永楽を更に酔わせるわけにはいかないのだ。

腹ペコの永楽はともかく、いなりたちは朝飯の蕎麦の存在をまだ胃袋に確かに感じている。
しかしながら入った以上は1人1オーダーのルールを尊守したところ、四人がけのややゆったりしたテーブルは見事に皿で埋まった。
一品一品がデカ過ぎるのだ。

先程のじにーの褒め言葉は、自身が注文したグラクロなるサンドイッチに対してである。
ホワイトソースの甘みともちもちのマカロニ、そして確かなチーズのコクを感じるグラタンコロッケと、シャキシャキの刻みキャベツ、そしてドミグラスソースをふかふかのバンズで挟んだ、寒い時期の定番限定メニューである。
何故グラ『コ』ロでないかと言えば、コロッケの地方名称であるクロケットからとったとも、ドミグラスソースの黒色からとったとも言われているが、某大手チェーン店との名前被りを避けてではないかという説が一番声高い。

そして、バカと形容したのはその大きさである。
写真詐欺店舗の名誉に相応しく、そのサイズはじにーの顔に等しい。
つられて注文してしまったオスシもまた腕の太さに匹敵するグラクロの厚みに顔がひきつっている。
そんなオスシの横では、これが噂の不思議の魔塔か、腰掛けた自身の目線を超える高さにそびえるソフトクリームにいなりが目を白黒させる。
アイスのココアを頼んだだけのはずなのだが、何故ソフトクリームが乗っているのか。
そして何回巻かれているのか数える気もしないこの高さ。
驚きのボリュームに、バカとしか褒めようがないのである。

手がなかなか伸びない3人を尻目に、永楽は満面の笑みで枕のようなカツサンドにかぶりつく。
加えてナゲットとポテトのコンボバスケットに、ピザのようなサイズのデニッシュにソフトクリームをのせたデザートまでフルセットで注文し、終始ご満悦であった。

ややあって、膨らんだお腹を擦りながら机に突っ伏すオスシ。
そして想定外のソフトクリームに身体を冷やしたいなりと、少し手伝ったじにーは暖を取るためと口に残る甘みを流すためにホットのブラックコーヒーをちびちびすする。
もはや僅かな液体すら胃に納めるのが至難の業であった。
そんな、何とか食べきるも満身創痍な3人に対し、永楽はまだまだいけると余裕の表情で爪楊枝を操っている。
とはいえさらなる注文にはこちらもそれ相応の代価を払うべきと慮る程度には、永楽も大人なのだ。

「さてな、3日ぶりのまともな飯の礼だ、何から話してやろうかな」
まず手始めに永楽は、涙なくしては語れない、グランゼドーラの酒場から遠く離れたヴェリナードまで拉致された顛末を詳らかにした。
曰く、いつものようにツケで酒をあおろうとした永楽は、奢りだと渡されたグラスを揚々と飲み干した所で意識を失い、気付けば簀巻きにされて船の上だったらしい。
「全く酷い話だと思わんか?」
「要するに…貯まりに貯まった酒場のツケ、その返済に充てるために何かしらのクエストを強要された、そんなところでは?」
「………お前、ほんとうに可愛くない弟子だよな?」やおら図星を突かれて、永楽は口を尖らせるのであった。
                      続く
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