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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 海賊
レベル
: 125

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レオナルドの冒険日誌

2024-03-25 17:41:50.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『calm before the storm』その6

拡げた扇が雄大な翼へ、もとより長い紫の髪が全身を覆い包み艶やかな鱗へと変わり、そして華美なアクセサリーはそのままに、マーニャは巨大な竜へと姿を変える。
「姉さんは逃げて!」
最大速力で空を舞えば、マーニャだけでも着弾範囲からは逃れられるはずだ。

「馬鹿言うんじゃないの!」
この姿ならば幾分か、呪文と炎熱への耐性も増す。
ギガパレスに背を向け、ミネアを包み込むように翼で覆い包む。
「姉さん駄目!このままじゃ…お願いよ…!姉さんだけでも…!」
背を焼く熱よりも、よっぽど必死に胸を叩き続けるミネアの拳のほうが、心を痛めつける。

(ごめんね…そのお願いは、聞けない、かな)
とはいえふと思えば、そもそも妹のお願いをすんなり聞いたためしはない。
まあ、カジノに行かないで、お金を勝手に使わないで、位のものではあるが。
………つくづく、ろくでもない姉であると自覚する。
数日前、ミネアが水晶球に見たのは、真っ赤な血に染まった竜化したあたしの姿だという。
やっぱり、妹は凄い。
水晶占いは百発百中、お金の管理だってきちんとしてる。
だから、どちらかが残るなら、それはミネアであるべきなのだ。

「姉さん…!姉…さ………ん…」
しかし次第にミネアの力も声も弱まり、ついには熱砂の上に倒れ込む。
直接爆熱に曝されなくとも、蒸し焼きのようなものだ。
しかし既に音は止み、肌を炙る熱も少し、ほんの少しではあるが、ピークを超え弱まってきている。
(もう少し…もう少しだけ耐えて、ミネア…お願い…せめて、あんただけでも…)
ミネアの後を追うように、マーニャの意識もまた、闇へと墜ちていくのであった。

宙に浮かぶ鏡面に映る、マダンテカノンの前に3体の手駒がなす術もなく閃光に飲まれる姿を、しかしジェルミは動じることなく眺める。
空になっていたグラスをふいと差し出せば、とくとくと林檎のジュースのおかわりが注がれた。
「なるほど、サンプル587ですか」
注ぎ口に残る雫をナフキンで拭き取りながら、魔法生物もまた画面に目をやる。

「ああ。あれは、個として性能は最弱であるが、それもまた使いよう、だ。…んん、このところの寝不足がたたっているな…少し寝る。監視は…任せた…ぞ」
不意に襲い来た目眩すら伴う強烈な眠気に、ジェルミは立ち上がりざまたたらを踏む。
眠気は睡眠不足が原因ではないのだろう、その鼻からは僅かに青い血が垂れていた。

「御意に」
再び空になっていたグラスを受け取り、魔法生物は甲斐甲斐しくジェルミに頭を下げ、その背を見送る。
(………もう駄目だな。今回は前より早かったか…)視線の先でふらふらと歩むそのうなじ、そこにはやはり魔法生物の証たる宝石が顔を覗かせているのだが、自分がジェルミ本人であると思い込まされている彼女はそれを知る由もない。

哀れなジェルミレプリカを見送った後、再び目を向けた鏡面の中では、マダンテカノンのもたらした光球がようやくおさまり、その中心に居たマシンモンスター達は傍目でも再起不能と判るほどに損傷し、紅の装甲がドロリと溶け出していた。
「…だが、成果はあった。私でもこの局面、サンプル587を選んだだろう。ジェルミ様もきっと…そうしたに違いない」
魔法生物は眼前の壊滅的な状況をしかし気にする様子もなく、主が不在となった席にゆっくりと腰掛け、横行に脚を組むのであった。
                      続く
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