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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2024-04-14 14:02:57.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『calm before the storm』その10

「行き止まり、でしょうか…」
狭い室内、そこを埋め尽くさんばかりの巨大な球体水槽。
その中には、膝を抱いて眠るような姿勢で、少年が浮かんでいた。
台座から何本もの太いパイプをあちこちに伸ばす水槽を満たしているのはただの水ではないらしく、霧や霞のように視線を遮り、中の人影は酷くぼやけたようにはっきりしない。

「………ウェディ…?いや、違う、これは一体…」
ガラスに顔が映るほど近くまで歩みよってはじめて、ユクはその中身が同胞などではないと知る。
ブリキの筒にとつげき魚のようなツンツンのカツラが載った頭、動きやすさを優先してか上半身は肌をさらし、下半身もまたハーフパンツに簡素な具足のみのラフなスタイル。

遠目からも耳や背中のヒレが見てとれて勘違いしたが、瞳はドルバイクのヘッドライトのような縦にラインの入った黄色のガラス張り、その全身は頭部と同じく銀色の光沢を伴うブリキのような安っぽく見える金属で出来ていて、大道芸の腹話術人形のような適当な造りの顔面と身体のあちこちに金属板の継ぎ目が走り、そこに沿って規則正しく固定の為のリペットが打ち込まれている。

時折その金属の身体が、心臓が脈打つように金色の光を宿し、その輝きは下部のパイプに伝達されて、血液のようにギガパレス内へと流れていく。
「何だ貴様ら?いつの間に入り込んだ?」
光の流れを目で追っていたユクは、不意に上から降ってきた声を訝しみ顔を上げる。

「………草?」
声のした方を見やれば、シュルリと長く垂れ下がる黄緑の房。
「な~にが、草、だ不届き者め!」
続く罵声に導かれ、そのままさらに上へと目を向けていけば、球根のように丸みを帯びた根本に、喜哀楽が抜け落ちた感情を感じさせない瞳がついている。
どうやら声の主は奇怪な植物などではなく、一介のプクリポであるらしい。

何故ケルビンが天井から逆さまに頭を生やしているかといえば、このところの不摂生が祟り、動力室に繋がるダストシュートに放り込んだ我が身がすっかり嵌ってしまったのだ。
「まったく次から次へと面倒な………」
ただでさえサンプル587の対処で頭が痛いというのに、面倒は増えるばかりでケルビンはため息を吐く。
冷静に考えれば、このプクリポが無関係に迷い込んだ冒険者である訳がなし、疑ってかかるところであるが、あまりにもあまりな姿にユクもミネアも呆気にとられ、それが大きな仇となった。
「………そういえば名前を決めていなかったな。グレンで見かけたあの魚小僧、名を何と呼ばれて言たか………フウラ…いや………クウラ…違う………ん!そうだ!思い出したぞ!ソウラ、ソウラだ!良し、お前の名前は決まった!」
かつてグレンにて、魔博士なる輩が大地の箱舟を魔物と転じた際、たまたま居合わせたケルビンは、ある冒険者の面白い力を目の当たりにした。

その力の名はおろか、原理も未だ不明なれど、傍目見て竜の力が関与しているとふんだケルビンは、同じく竜を起源とする物質を扱うにあたり、その冒険者の外観を参考にしたのだ。
「メタルソウラ!フィンガーブリッツだ!天井を砕け!!ただし、吾輩にはけして当てるなよ?」
ケルビンの声にメタルソウラの瞳はビカッと輝き、水槽の中に手足をほどいて降り立つと、両の腕を指先までピンと伸ばして天井に突きつけた。
「まずっ…!?退避~っ!!」
お笑い芸人にしか見えない2人、いや、水槽の中身は1人とカウントすべきか悩むところであるが、ともかく、言葉の通りであれば部屋が崩れる。

ミネアの手を引き大慌てで走り出すユクの背後で、一繋がりに聞こえるほど間断挟まぬ銃撃音が鳴り響いた。
瓦礫と化した石材の降り注ぐ轟音に追い立てられ、ギリギリ飛び込むようにして動力室から脱し床に転がる二人を、もうもうと立ち込める砂煙が覆う。
咳き込みつつよろよろと立ち上がったユクとミネアの背後で、メタルソウラもまた瓦礫の山を掻き分けピンと立ち上がる。

取り入れた地脈エネルギーを純粋な魔力の弾丸に変え、指先に設けられた銃口から連続で打ち出すメタルソウラの主兵装、フィンガーブリッツ。
如何に魔力防護をかためた構造材といえど割砕く威力は計算通りだが、自らも瓦礫に埋まるのはケルビンにとって計算外であった。
動力伝導液が未だセンサー類にまとわりついて機能を阻害しており、カメラに頼る他ないメタルソウラはキョロキョロと精密機械に相応しくない挙動であたりを見回し、瓦礫の山から芽吹く草、もといケルビンの頭髪を発見すると、歩み寄りむんずと掴んで引き摺り上げるのであった。
                      続く
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