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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

ライブカメラ画像

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レオナルドの冒険日誌

2024-04-20 20:16:01.0 2024-04-20 20:26:35.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『じローライフ』その5

「おじゃましま~………」
何だかんだで、清掃に勤しむじにーをちょくちょく手伝っていた3人であるが、修繕工事を経て新生したたぬきち邸を訪れるのは今日が初である。
八日市で入手した鍋や戦利品の数々を抱えて、ぶらり見学会という運びとなったのだが、開いた扉の先、宙に浮かぶ魔物と目が合って、いなりはぴしゃりと引き戸を戻した。

天井の蛭鉤から下がる自在鉤、囲炉裏の上に鍋を釣るためのそれもまた、匠の手により新調されている。
囲炉裏は熱源に炭を扱う都合上、火の方を強めたり弱めたり、細かい調整が少々ホネである。
自在鉤で鍋の高さを上げ下げする事で、その機微を補うのだ。
高さの調整の要となる小猿と呼ばれる横木は、遊び心で魚を彫刻するのが定番なのだが、牙までしっかり完全塗装済みの大口を開いたとつげきうおという何とも挑戦的なデザインが、図らずも来客の度肝を抜いたのだ。

危うくかげろうなどは刀を引き抜いて斬りかかる寸前であったが、なんとか誤解はとけ、一同は今にも動き出しそうな横木、もとい、囲炉裏を囲んで畳に座す。このデザインは流石にちょっと………
どう考えてもタダ同然、超破格の工事料金故に、じにーはロマンの仕事に口を挟む勇気を持たなかった。

「………じにーって変なとこで遠慮しいだよね」
かくいういなりはといえば、屋敷の門をロマンに直してもらった際、金箔を貼ったむくろカサゴの彫像を両端の鬼瓦にのせられそうになったがキッチリ断っているので、じにーは返す言葉もない。
刑部邸が瓦屋根であったなら、いなりからクーリングオフされたむくろカサゴも屋根にオンしていた事だろうと思い至り、ほっと胸を撫で下ろす。
ともあれ、鍋はまるで最初からそこにあったかのように囲炉裏に馴染み、これにて刑部邸の最後の1ピースがしっかりと噛み合った。

「鍋はまだ油馴染ませないとだから、今日は代わりに…リーネ、ちょっと手伝って」
「は~い」
八日市で買い求めた品が数あれど、甘んじて何も出さないのは家主の名折れである。
じにーとリーネは連れ立って、土間の冷温庫の中から、小さなお盆に2つずつ、陶器のレンゲと波ガラスの涼やかな小鉢を載せて帰ってくる。

「『冷や水』か~、今日はちょっと暑いくらいだから、ちょうど良いね」
いなりはニッコリと給された涼菓を手に取った。
裏手の清流を流れる水で良く冷やした器の涼感も心地良い。
「………!この味は…」
そして器の中に揺蕩う透明な雫をひとすくい口に運んで、かげろうはその澄み渡るような懐かしい味に目を見張る。

冷や水とは、まだエルトナ大陸にアズランもカミハルムイも無く、何もかもが貴重だった古の頃から伝わる涼菓だ。
涼菓といえば聴こえは良いが、その実、水に砂糖を溶かし、そこに紅で斑に染めた白玉を浮かべて泳ぐキンギョに見立てたシンプルなものである。
しかしながら、えてしてシンプルなものこそ、作り手による僅かなアレンジでがらりと趣を変える為、他者の手によるそれを手探りで再現するのは実に困難である。
刑部邸に残された手書きのレシピ帳を発見せねば、自炊歴の長いじにーとて、かげろうの舌に敵うほどの再現は不可能であっただろう。

「一匙の砂糖の他、気付くか気付かないかくらいの僅かなニッキを入れる、か。あのタヌキめ、何が特別なことはしていない、だ」
アカツキを御庭番に据えた後の幼きかげろうは、刑部の給する冷や水恋しさに度々足を運び、都度アカツキに稽古をつける事となったので、刑部にとってはしてやったりだったのだろう。

そして、秘されていたレシピはもう一つ。
たぬきちの冷や水には、白玉の代わりに、半透明のお餅が浮かんでいた。
「食感がおもしろ~!いいね~、これ!!」
もとは米粒であった名残を感じるブツブツとした餅の肌。
エルトナの西方の桜餅と似ながら、外観を裏切る硬めのゼリーのような独特な歯応えもまた、他では見かけぬ独自のものだった。

「ツスクルの寺院に伝わる、糒を砕いて甘みを足した粉、そこに少し寒天を加えて…」
それもまたもちろん、遺されたレシピの通りの品である。
「…そうか…アカツキの父は確か、ツスクルの出身だったな」
レンゲにすくい持ち上げた一つを、灯りに透かす。
かげろうの思い出の味は、刑部とアカツキの合作だったというわけだ。

「まさか、あの冷や水をまた味わえるとは。長生きはするものだな」
「そんな歳じゃないでしょ………いちいちババ臭いんですから、もぅ。あ、じにー、良かったらそのレシピ、書き写させて」
「もちろん!」
かくして、かげろうの思い出の冷や水は、これからの彼女に寄り添ういなりに引き継がれる。
床の間に安置されたたぬきちとアカツキ、二人の愛刀が、僅かに嬉しそうに見えたのは、きっと、皆の気のせいではないだろう。
                 続く
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