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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2024-04-27 15:54:12.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『calm before the storm』その14

未だ傍らで虹を描くケルビンをよそに、メタルソウラは古ぼけた絨毯をつま先で引き千切りながら走り出す。
既にコマンドは受領済みとあれば、会話を待つ様式美など、精密機械は持ち合わせていない。

ケルビンを手放し自由になった掌で背負っていた剣を握り、メタルソウラは大きな跳躍からユクとミネアに勢いよく斬りかかる。
ナタを細く長く引き伸ばしたような片刃、正中に振り下ろされるそれを、まがいなりにも刀を持つ者としてユクはミネアを庇うように進み出て受け止めた。
守りに徹されたならば私でも手を焼くと、カミハルムイ指折りの剣豪いなりから評されるだけのことはある。

とはいえ、両手で刀を握りやっと斬撃を耐えるユクに対し、相手の片腕は空いている。
「させません!」
ジャキンと左の指内の砲身を金鳴らし、ユクに突きつけるメタルソウラに対し、ユクの姿を隠れ蓑に肉薄したミネアが躍り出て、人差し指と中指で挟んだタロットカードで居合の如く、メタルソウラとすれ違いざまに振り抜く。

金属同士の激しい衝突音が響き、切り裂けぬまでも、ミネアの一手で大きく蹌踉めいたメタルソウラから明後日の方向にフィンガーブリッツが飛び退る。
そのうちの何発かは天井を穿ち、上に乗る超重力に耐えきれずビシビシと音を鳴らして亀裂が拡がっていった。
「…何か…来る…!?」
見上げたユクのインパスは、崩れ落ちる岩くれの向こうを赤く照らす。

「…良かった!無事だったのね姉さん!!」
全身が赤く染まっていようと姉は姉、突然の床の崩落に巻き込まれたものの、巨体故に威風堂々と部屋を揺らし着地した竜の姿に安堵の声を上げ、思わず走り寄るミネア。
この時、ユクはドラゴラムにより転じたマーニャの姿を初めて目の当たりにしたのだ。
当然、本来の体色と異なることなど知る由もない。
「ミネアさん!駄目!!」
それでも自らの異能が命じるままに、ミネアに背後から半ば飛びかかるように抱きつき、もろともに床に押し倒した。

間一髪。
風を切る音とは思えない轟音と共にユクとミネアの頭上を太ましい尾が薙ぎ払い、反応の遅れたメタルソウラの頭部を、あわれ胴と泣き別れさせ天井にぶつかる程に打ち上げる。
「姉さん…!?私よ!?分からないの!?」
嘆願虚しく、一度は過ぎ去った尾は舞い戻り、今度は折り重なって倒れるユクとミネアの直上から振り下ろされる。

「………ッ!!!」
これはもはや回避が間に合わない。
「………?」
きつく目を閉じたユクであったが、予期した衝撃は訪れず、尾で打たれたにしては余りにも軽い重量が背にのしかかる。
「ほぉほぉなるほど…そこな女、今この竜を姉と呼んだか?しかしその頭を見るに竜族でもなし、さてはドラゴラムだな?………ど~りで、チョッピ荒野に竜などが突然現れる訳だ」
いつの間にやら無意味にユクを踏みつけその背に立つケルビンの眼前で、赤き竜、もといマーニャはビシリとヒビが走るほどに牙を食い締め、ギリギリで尾は動きを止めていた。

まんじりともせず、そのまま降りてくれば即死は確実な尾を前に、ケルビンはそんな些末なことよりも残る謎も全て解けた歓びに口元を歪ませる。
『ガァ…ッ…!!』
マーニャは己が身を操ろうとする力に抗いきって、尾はそのまま斜めにそれて3人のすぐ横の床を抉った。
「…メタルソウラ!命令変更だ!!竜を抑えろ」
「アイ、マスター」
コマンド受領の返信音声は真上から響いた。
ツンツン頭もどうやら金属で出来ているらしく、打ち上げられて天井に突き立った頭をそこに残したまま、銀色の駆体がケルビンの頭上を飛び越え、遥かに大きなマーニャと組み合う。

「…なんて力…」
あらためて相手していた機械人形の恐ろしいまでの性能を目の当たりにしているうち、あれよあれよとメタルソウラはマーニャを壁にぶつかるまで押しやってしまった。
ケルビンは衝突に伴う衝撃により天井からようやく帰ってきたメタルソウラの頭をキャッチし、愛すべき芸術作品めがけて放り投げれば、吸い寄せられるように頭は元の位置へと舞い戻る。

「喜べ愚図ども。この稀代の天才が貴様らに力を貸してやる」
敵の敵は当然敵だが少なくとも利用価値がある。
例え不届きな侵入者であろうと、問題を最大効率で解決できるのであれば手を組む。
もちろん、ついさっきまで排除しようとしていた相手であると忘れた訳では無い。
しかしそれは些末なこと、如何に矮小な脳ミソであれ、この天才が共闘を申し出ているのだ、二つ返事で『はい』か『イエス』と決まっている。
ユクの答えを疑いもせず、不遜に腕を組み、ふんぞり返るケルビンであった。
                      続く
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