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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2024-05-11 09:54:30.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『じローライフ』その8

「オスシちゃんもいなりもごめんね~、手伝わせちゃって」
「全然、お花運ぶの、いつも楽しみです」
「いいよいいよ、私もちょっと興味あったし」
それは、夜行石を巡る騒動に巻き込まれる少し前のこと。
視界を覆われんばかりの花束を抱えた3人の姿がグレン住宅地の一画にあった。

外観からも格式の高さが漂うそこは、ある特別な商売を営む館である。
「ようこそ、じにー様。お待ちしておりました」
館の扉へつながるアプローチに一歩足を踏み入れるかいなかのタイミング、まさしく待ち構えていたかのように、ガチャリとよく油の挿された小気味良い音を立て、いかにも執事といった佇まいの老いたオーガの男が出迎えに現れる。

口元にも顎にも長くしなやかな白髭を蓄え、燕尾服に身を納めた紳士のマナーが形になったような老人はゆっくりと深く一礼し、じにー達のもとまで進み出ると、3人がそれぞれにやっと抱えていた大量の花束を、難なく、しかし花をけして傷めぬよう優しく受け取り、たった1人で抱えて館へと先導する。
そんな状態でも花が縦枠にも上枠にも当たらぬ程に扉の間口は大きい。
この造り、館を訪れるのはじにーやオスシと違い初めてなれど、同様に一度機に大量の花を持ち込む客が多いのかもしれないと、館から放たれる濃厚な花の香りに包まれながらいなりは思った。

「今回は少し時間が経ってしまっているのですが、大丈夫でしょうか?」
「…ふむ…失礼」
この花の館の主である老いたオーガはさらりと風が吹いたような所作で花束を解き、構成する一つ一つの花を、柔らかで厚みのある布を幾重にも敷いた、花にそれ自身の重さを感じさせぬほどに優しく果てしなく横に長いテーブルの上へ順に並べていく。

これもまた、極めし者の動き。
一瞬のうちに、ずらりと並んだ花々。
その一つを手に取る。
その手は熱を遮断する加工を施した絹のグローブに覆われ、花へのストレスを徹底的に抑えられている。

「問題ございません。ご安心下さい」
モノクル越しの瞳で入念かつ速やかに花びらの状態を確認すると、顧客を安心させるために満面の笑みを浮かべた。

花を保存する方法は種々存在する。
例えば押し花。
クローバーやスミレ、レースフラワー、ミモザや紫陽花などの水分が少ない花に適する手段で、直射日光を避け風通しの良い場所で乾かした植物を水分をよく吸う紙で挟み、重しを加えて完全に乾燥させたら、形を整え額などに入れて飾る。
一つはドライフラワー。
押し花と作り方は似るが、花の形をそのままに乾かし、残すことができる。

そして最期に、この館の生業でもある、プリザーブドフラワー。
特殊な薬液を用い、これもまたドライフラワーと同じく花の形をそのままに長い寿命を与える術であるが、ドライフラワーとの大きな違いは、花びらの手触りや柔らかい質感をそのままに留めるところにある。
また、染色を施すことで、ドライフラワーに起こりがちな変色を整えたり、そもそも存在しない色の花を創り出す事も可能である。

「今回もいつも通りで?」
「ええ、お願いします」
しかしじにーはあくまでも加工前の状態の再現の為の着色のみで、色を変えることはしない。
あくまでも、貰った花束をそのままに永く残すためにここへ通っているのだから。

プリザーブドフラワーの加工には1、2週間ほど時間がかかる。
以前依頼し、完成していた分を引き取って、じにー一同は館をあとにすると、すぐさまグレン住宅村の別の建物へとやってきた。
行きと同じく3者が山のような花束を抱えて辿り着いたのは、じにーの別宅である。
                      続く
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