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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: 人間
性 別
: 男
職 業
: 占い師
レベル
: 129

ライブカメラ画像

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レオナルドの冒険日誌

2024-06-22 09:51:16.0 2024-06-22 12:56:09.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『其れは誰が夢の果て』その6

「…ええと…どちらさま?」
来客の肌色がおかしいのは、影になっているせいかと思った。
当然だ。
個人差は勿論あるとは言えど、オーガと同じ体躯のドワーフなど、ユクはこれまでお目にかかった事がない。

「質問しているのはこちらだ。ここは、ヤガミの家で間違いないな?」
感情はこもらぬが丁寧ではあった女の口調が一変する。
そうは言われてもユクはユクである。
入居に際して、かつての住民の名を聞いた気がするのだが、そんなことはもう既に忘却の彼方だ。

「…調べはついてる。無駄は省け、ベータ」
ずいと女を押しのけるように現れた少年の姿に、ユクはますます困惑を深める。
「え…?フタバ、ちゃん?いや、そんなわけ…」
フタバ、という言葉に僅かに反応を示したが、少年はユクを一瞥もせず、するりと鍵の開いていた扉に手をかけ、勝手に玄関をくぐってしまう。

「あ!ちょっと!!」
「ベータ、家主としばらく、世間話でもしていろ」
ユクは、フタバと瓜二つの姿に呆気にとられ、みすみす不審者の侵入を許してしまった。
慌てて少年の肩を掴もうとしたユクの襟首に何か硬い感触がはしり、ぐいっと軽々ユクは引きずり戻され、宙に浮く。

「ちょっと!放して!!」
何処から現れたのか、紫と鈍色にくすんだレンガが寄り集まり、ゴーレムのような巨大な腕が形成され、ユクはそれにがっちりと掴まれていた。
太ましく硬い岩くれの親指と人差し指をそれぞれの手で握り、振りほどこうとするが、バタバタと足も振って精一杯に暴れてみようとも、まるでぴくりともしない。

巨腕はベータの肩に繋がるでもなく、上腕の中央あたり、子供が適当に積んだ積み木のように歪な断面をさらして宙に浮かび、さらにユクを吊り上げる。
「少し大人しくしていろ」
「く…か、は…っ」
締め付けを強める指の圧で容赦無く首は締まり、薄れる意識の中、ユクは辛うじてタロットを納めたポーチに手を伸ばす。
素面で駄目ならば。
引き当てるは『力』のカード、取りこぼしたような形で足下に放った1枚が光を発し、ユクの全身に力がみなぎる。

もれなく力強さを増した首の筋肉がかろうじて気道を確保し、あらためて酸素を吸い込み渾身の力を振り絞った結果、からくも巨腕からの脱出に成功した。
無論、そのまま帰ってくれる相手ではない。
「なんだ?明らかに性能が増した。面白い。面白いぞ、お前!」
自由を取り戻したのは巨腕も同じ、鷹が肩にとまるが如く、ベータの頭上でゆらりと鎌首をもたげ、握り拳を固める。

「壊れてくれるなよ!?お前を壊してしまったら、姉さまに怒られる!」
まだ息も姿勢も整わぬユクにお構い無しに、ごうと巨腕はユク目掛けて突進する。
「…!ビッグシールドッ!!!」
横に4枚、縦に5枚、拾い上げたばかりの『力』のカードも含めたデッキ20枚全てを費やして築いた渾身の防御壁であったが、拳はそれを容易く歪ませ、なおも推力を失わない。

(押し負ける!)
有り余るパワーで相手を圧倒する。
敵との相性の悪さにユクは舌を打ち、壁を破られる前に飛び退いた背後を流星のように拳が突き抜けた。
ごろりと受け身を取り、膝をつき低い姿勢から抜刀する。

刀はブラフだ。
先までの会話から、巨腕は自由意志を持つわけでなく、ベータと呼ばれていたこの女にコントロールされているのだとユクは推測した。
ベータの視線が刀に向いた隙に、先程打ち破られ、宙に舞ったデッキの中から回収していた『死神』のカードを、背後で自宅の壁に衝突した巨腕へ向けて後ろ手に投げ放つ。
ベータが警戒する間もなく炸裂した闇エネルギーの爆発に、見事巨腕は粉々に砕け散るのであった。
                      続く
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