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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2024-12-18 22:49:15.0 2024-12-18 22:57:00.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『鴨肉ト葱ヲ加フ、冬ヲ専トス』

カラカラカラ…ピシャリ
老舗の蕎麦屋、古びた開き戸は、外観からはまるで想像のつかない、文字に起こしたようなキリッとした音を立てる。
「…よっ、大将、久々」
「やぁ、あんたか、大棟梁」
それもそのはず、老朽化で倒壊寸前であったこの蕎麦屋の建物を改修したのは、他ならぬこのアストルティア中に名の轟く大棟梁、ロマンなのである。

ドワーフの大将にくいっと身振りで角の席に誘導され、挨拶もそこそこに椅子を引き腰掛ける。
「おすすめは?」
ややせっかちなくらいの時間運びが、蕎麦に対する礼儀である。

「ちょうど昨日から、鴨を始めたところだ」
「いいねぇ」
会話の流れに乗りながら、大将は一人前より少し盛った量の蕎麦を湯に落とす。
それはぴたりとロマンの胃袋が求める量だ。

「せいろか南蛮、どうするね?」
火傷するほど熱々のつけ汁に、きりりと冷えた蕎麦をくぐらせズッとすするのも想像しただけでヨダレが口一杯に込み上げるが、外は鼻も赤らむ寒さである。
「南蛮で頼む」
「あいよ」
応えながらもテキパキと、早くも茹で上がった蕎麦を笊にあけ、チャッチャと水を切ったら椀に座らせる。
寸胴の蓋をあければ、ふわっと湯気と共に甘い香りが店内に漂う。
鴨肉と煮込まれようとも濁りなく、夕暮れ空のように紅く澄み切った汁を蕎麦に回しかけ、胡麻油で焼き目をつけた筒切りの葱を添える。
「あいよ、お待たせ」
とんと卓に置かれた衝撃で揺らめく水面に浮かぶ鴨肉の脂が店内の明かりをはらんで金色に煌めいている。
「いただきます!!」
先ずはズズッとそのまま一口。
醤油と削り節、ベースはかけ蕎麦の汁と変わらぬ筈なのに、鴨の脂が加わることで、高級な味醂にも似た実に上品な甘みが加わる。
続く二口目は、主役の鴨肉を添えて。
煮込まれようとも程良い食感と、これほどにツユに旨味を放出していながらしっかりとした鴨肉の味わいが口いっぱいに広がった。

合間に挟まる葱の香ばしさ。
一説によれば、葱がドワチャッカよりエルトナに海を越えて伝わった食材である為に『南蛮』と名付けられたという、鴨に負けず劣らぬ主役である。
そうこうして、働き盛りに向けてとは言えやや多い盛りであったが、するりと汁の一滴までロマンの胃袋へと消えた。

しめの蕎麦湯で一息入れつつ、ロマンはお代をカウンターにとんと置く。
「…毎度言ってるがな、あんたからお代を頂くのは、心苦しいよ」
ある日ふらりと現れたロマンによる改修工事なくば、先祖代々引き継いで来たこの建物が駄目になっちまうならそれまでと、店主は店を畳む気でいたのだ。

「毎度言ってるだろ?修繕の費用なら、ちゃあんと頂いてる。大将と俺っちの間に、貸し借りはねぇ。だからこれは、正当な対価ってやつだ」
いつもこうだ。
しかし店主はロマンに、工事費として1ゴールドだって支払ってはいない。

「…そうかい。じゃあせめて、また足運んでくれる日まで、腕鈍らせねぇようにしておくよ」
「ハッハッ、頼んだぜ!1日でも長く、店を続けてくれ!」
「ところで、今は何を造ってるんでぃ?」
通常、依頼内容は明かせるものではないが、今回は少々事情が異なる。

「ん?そうだな…今のヤマは守秘義務のある仕事でもねぇし…もうすぐウェナの近海に鯖が尋常じゃあねぇ量現れるってんでな、網を造ってるところだ」
「…あんた、大工じゃなかったんか?」
クエストを共にした間柄ではないのだ、大将の疑問も無理はない。
「ハッハッ!そうだな、俺っちは…俺っちにしか造れねぇもんを造るのが仕事なのさ!!じゃ、大将、また来る!!」
店を出たロマンはやや歩いてからふと振り返り、鴨南蛮で暖まった身体、白い息を棚引かせながら、橙の灯りが漏れる蕎麦屋の建物を眺める。

ついぞ、師匠から仕事ぶりを直接言葉で褒められたことは無かった。
しかし、こいつは会心の仕上がりだろ、と自信の持てる仕事が出来た日には、決まって師匠はこの蕎麦屋で一杯、奢ってくれたのだ。
そんな思い出の店を続けてもらうことが、ロマンにとっての何よりの報酬なのである。

「よっしゃ!続き続き!!」
鯖の大群が押し寄せる日は近い。
身体に灯った熱が冷めぬうち、足早にエスコーダ商会のドックへと足を向けるロマンなのであった。
                     ~完~
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