目覚めし冒険者の広場-ドラゴンクエストXプレイヤー専用サイト

常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: デスマスター
レベル
: 131

ライブカメラ画像

2D動画 静止画

写真コンテスト

{{ photoImg }}
さつえい日  :  {{ photoDate }}
さつえい場所  :  {{ photoZone }} ({{ photoWorld }})
{{ photoImg }}
{{ photoImg }}
{{ entryTitle }}
{{ mangaImg1 }}
{{ mangaText1 }} 
{{ mangaImg2 }}
{{mangaText2 }} 
{{ mangaImg3 }}
{{ mangaText3 }} 
{{ mangaImg4 }}
{{ mangaText4 }} 

レオナルドの冒険日誌

2024-12-24 20:05:36.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『其れは誰が夢の果て』その43

未だ呆けたような表情のアルファであったが、多少は冷静さを取り戻した。
「………妹を助けるため、死体を探している」
こちらの正体を見抜くあたり、相手もまたジェルミと同じく錬金術師なのだろう。
ことここに至っては、隠す必要もない。
するりと包帯を巻かれていく間に、アルファはつまびらかに全て打ち明けた。

「………なるほど」
事情はどうあれ、大切な家族の亡骸を差し出してくれる相手など、いないだろう。
かといって、墓を荒らすなど論の外である。

魔法生物ゆえか、アルファの思考には、危ういものがあると少女は感じた。
しかし、大切な妹を助けたいという気持ちは、自身も兄のもとへ帰るという一心で永い永い旅を続ける少女にとって、無視できるものではない。
少女はやがて意を固め、カーテンの向こうから厳重に鍵のかかった大きな箱を取り出した。

「貴女のその目…分かるのね、これが何で出来ているか」
アルファの瞳はジェルミにより与えられた特別なものだ。
箱の中身、宝玉の美しい見た目に反して中に渦巻く黒々とした感情のうねりを見て取ったアルファは思わずたじろぐ。

「…封印するつもりだった人々の嘆きの塊…貴女の妹を助ける為に使われるならば、いくらか無念も拭われる…」
直接、犠牲になった人々に許可を取り次げるはずもない以上、それはただのエゴで、彼らに対する言い訳にもならない。
しかし今は、これが正しい使い途に思えた。

錬金術の究極にして、忌むべき手段でもある万能の秘法。
少女はレイダメテスの災禍に見舞われた地を巡り集めた乙女のたましいを触媒に、おうごんのうでわを用い、錬金釜の効果を超常に増幅させる。
工房内から掻き集めた素材には肉を始めとし多々不足があるが、難なく補える程に高まったエネルギーが、工房の中央、大きな錬金釜の中で混ざり合う。

「………あなたの妹を助けることには協力する。だけれど…死者の蘇生については諦めなさい」
少女は錬金釜の放つ温かな灯りのなか、諭すようにアルファに語りかける。
「どれだけ強力な呪文でも、熟練の占い師のタロットの御業でも、蘇ることのない人はいる。それは…どうしようもないことなの」
どれだけ手を尽くそうと、助けられない人はいる。
それはまるで、自分に言い聞かせるかのように。
少女は、故郷の村での穏やかな日々、そしてそこを焼き尽くした紅蓮の焔を思い出し、唇を噛み締めた。

「失ったものに囚われず、今、あなた達の隣にある全てを、慈しみ、大切にして。きっと、あなた達の大事な人、ジェルミもそれを望んでいるわ」
アルファから聞かされたわけではない。
その名が不意に口から零れ出たことに、他ならぬ少女自身が驚きを隠せなかった。

かつて無限の時を旅する中で、幼きドワーフを救い、錬金の術、その初歩の初歩を授けた。
目の前のアルファとベータに、確かに彼女の面影を見たのだ。
心優しい娘であった。
この幼い子らを残して逝くことに、どれだけの慚愧の念を抱えていたことか。
やがて面影を頼りに、アルファとベータにもよく似た緑の肌の少女の似姿が釜の上空に形作られ、ふわりと舞い降りる。

「…これはあくまで仮の身体。私も工房をたたんだら、すぐにあなた達のもとに向かうわ。妹さんをこの身体に移したら、くれぐれも安静にね。あなた達も、傷は浅くないのだから」
そうして一晩、アルファとベータをゆっくりと休ませ、少女はドルボードの技術を転用した大八車を与えて送り出したのであった。

「…ふぅ」
そろそろ、イシュマリクとシュナはアストルティアに着いた頃だろうか。
影時計を見やり、魔仙卿は一人、デモンマウンテンの自室にて被り物を脱いだ。
そこには、500年の昔、墓場にてアルファとベータを救った錬金術師の変わらぬ姿がある。

「…咎というならそれは、イシュラースではなく我の咎。ずいぶんと勝手なことを言ったものだ…」
魔仙卿の演技に引きずられるままに、誰が聴くわけでもない呟きを漏らす。
数日、いや、わずか1日でも約束の通りに、親を失った憐れな子らの傍にいてやることが出来ていれば。
そもそも幼いジェルミに錬金の術を授けなければ…

当時の魔仙卿、もとい、大魔王にして勇者の盟友であるユルールの妹ユメルは、時渡りの呪いにより長らく一つの時間軸に留まれぬという問題を抱えていた。
あの後、運悪くその影響に見舞われ、アルファとベータと交わした約束を果たせなかった後悔は、今でも尽きる事なくその胸を苛む。

せめて、救いある結末に至らんことを。
しかし、そう願うユメルにとっても、それが果たして誰にとっての救いであるのか答えのないまま、ワイングラスを満たすジャディンの園で採れたレッドベリーの搾り汁を飲み干すのであった。
                      続く
いいね! 7 件

ログインしていないため、コメントを書くことはできません。


戻る

ページトップへもどる