「なん……でぇ、結局……ふぅ、儂が最後、かい……身体がなまっちまってていけねぇや」
倒れ込むようにルシナ村へ帰り着いたオルカン、その汗を拭い、水を用意してと、ミュールが甲斐甲斐しくフォローする。
イシュマリクに関しては濁しながらもユクがもたらした山側の状況に基けば、差し当たって海にも山にも避難先の舵はきり難い。
浜に打ち寄せる波は心なしか勢いを増し、遥か山側に見えるサージタウスの群れも健在、事態は未だ悪い方向へ進行中なのは間違いないが、この嵐の前の静けさのようなひととき、ルシナ村に集った導かれし者たちはこの先の対応を決める為にも時間を割き、状況を確認しあう。
「う~ん……とはいえ、私もよく分かんないんだけど……」
大半を気絶していたあげはである。
モモから聞き及んだその間の出来事に、一同は更に混迷を深める事となった。
こめかみに指をあて、眉間に深くシワを刻みつつ、じにーは何とか状況を整理せんと言葉を紡ぐ。
「……ええとまず……トドメは兎も角として、あげはとモモを助けてくれたのはハクギンブレイブ……フタバちゃんのお兄さんね。でも彼はそこの……えっと」「べーやんですかの?」
「ああそう、べーやんと一緒にユクさん家を滅茶苦茶にしてて……」
「ブレイブバスターキャノンの火線からべーやんのお姉さん、つまりは敵の首魁と思しき相手を庇った、と」
普段であればこういう時、生業からくる読解力の高さで解を導き出すユクであるが、ハクトが末尾を継ぐ間も、自分の首を絞めた相手にべーやんというファンシーな愛称が付けられ、しかも定着しつつある様子に頭が上手く回らない。
ユクに代わり、ハクギンブレイブのちぐはぐな行動に一本の筋を通したのは、セ~クスィ~であった。
「……邪魔をすることが、護ることに繋がる場合もある。まあ、実のところは、聞いてみないとわからんが」
その言葉に、一同へ背を向けたままのベータは静かに目を開いた。
らぐっちょの言う通り姉があえて自分を遠ざけたのだとして……
それは何故なのだろう。
当然、答えは無い。
ただ漠然とガンマを失った時のような胸騒ぎに苛まれ、ベータは不安を振り払うように再び瞳を閉じた。
続く