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星辰の羅刹王

ミャジ

[ミャジ]

キャラID
: PH644-410
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ミャジの冒険日誌

2020-01-08 13:00:26.0 テーマ:その他

終盤は駒の損得より速度~蒼天のソウラ二次創作16~



焦げ付いた装束をはためかせアレスが駆ける。
ネブドが動き始めてから数刻、リュウガ達に送り出されたアレスは広場へ向かって一人階段を飛ぶ様に駆ける。
大砲が仮設された酒場上の広場に人影が無いことを視認し、声が届く場所にいる事を祈りながらコダマの型紙に叫ぶ。

「ミャジ!状況知らせ!」
「アレス君!?えっと、痺れ砲弾は使い切って遅滞戦闘中!あのネブドとか言う奴強すぎるんですけど!」
その報告を聞き、アレスは更に速度を上げ、広場を駆け抜ける。
ジュレットの街中層の広場からはそのまま下層の酒場前も見て取れる。
海岸線を見渡す事ができる広場は観光スポットとしても人気が高い。しかし、高所恐怖症の人が下を覗き込めば足を竦ませる程の高さは有している。
その高さに躊躇する事なく下の広場へ向けて身を踊らせる。視界に眼下での戦闘が入り、広場まで踏み込んでいたネブドに狙いを定める。

「押されてはいるが・・・よく耐えてくれている!」
高音を響かせ抜剣。武器を抜き、同時に刀身に理力を纏わせる。
爆発の理力を伴った星屑の剣が強く瞬く。重力による加速をそのままに、黄金の閃光が流星の如く尾を引く。
上空からネブドを強襲。袈裟斬りに一閃。返す刃で逆袈裟、横なぎ、切り上げと金色の閃光が次々に追従する。ネブドの反撃すら許さぬ連撃。舞うように斬り、斬るように舞う。そのたびに輝きが増してゆく剣筋。それを目にしたミャジがアレスの意図を理解し目を剥く。

「ぜ、全員アレス君とネブドから離れてぇ!!」
「ちょ、おい!?何やらかす気だ!?」

冒険者達の反応と、何より自らに撃ち込まれる斬撃から大技の気配を感じたネブドが強引に引き剥がそうと、武器を振り下ろす。

「そうは・・・いきません!」

間に駆け込んだソメイは棍が扱う柔技『天地の構え』を用いてネブドの一閃からアレスを守る。棍から伝わる圧倒的な質量とそれに伴う重量にソメイが顔を歪ませる。

「えぇーい!」

更にもう一つ、ネブドの槍の横面をみなゆりの爪が襲う。点を攻撃する事に特化した爪という武器の強みがここに来て遂に発揮された。
数瞬の間拮抗していた武器同士の鍔迫り合いがみなゆりの一撃で崩れる。
離れるとばかり思われた冒険者の予想外の行動に、ネブドの対応が遅れる。
そして、その遅れを逃さない。
アレスは切り上げた星屑の剣を力任せにネブドへと突き立て、アレスとソメイ。そしてみなゆりが飛び退る。
臨界点まで至った剣の輝きがこれまでの比では無いほど強く輝く。
『スターフレア』
新星爆発の閃光がネブドを飲み込む、片手剣で行うビックバンの如き大技。
さしものネブドもこれで揺らぐのでは無いか。そう思わせる程に凄まじい轟音と共に炸裂した。
魔力で繋がれた星屑の剣がアレスの手元に戻るも、アレス自身は警戒を緩めない。

「中々驚かせてくれたな冒険者!」

もうもうと上がる爆煙を両刃槍で切り払い、その中から巨人が再び姿を現す。
あれ程の爆発を受けたにもかかわらず悠々と立つ姿にアレスだけでなく他の冒険者も歯噛みする。

「アレスさん!上層は大丈夫なんですか!?」
「乗合馬車に乗っていた冒険者が間に合った!」

油断なく構えつつ、ソメイは声をかける。
それに対して、端的に先程の増援の経緯を説明する。砲弾での拘束が切れてから暫し。闘い続ける冒険者達には疲労の色が濃く出ていた。
アレスもまた、自らの疲労など悟らせぬとばかりに、煌めく剣と共に駆け出す。

戦端は先程までより押し込まれ、酒場前の広場にはばけガニやアクアメーバ、突進アマモが陣形を突破しようと次々入り込んでくる。
そして、その中央で何よりも猛威を振るうのがネブドであった。
視線の外から飛んで来るアクアスロー。
味方への損害も時には度外視で放たれる氷獄呪文【マヒャデドス】
冒険者が扱うそれとは比較にならない程の重さを持つ『はやぶさ切り』
まともに受けてしまえば二度と立ち上がれぬ程危険な技の数々。
暴風雨の如き暴力。その只中で武器を振るい、魔物を討つ。精神的にも肉体的にも凄まじい負担がかかっていた。

それでも、冒険者達は戦いを続ける。
みなゆりとソーメンによる一対のタイガークローが突進アマモを引き千切る。

氷槌呪文の冷気で武器を取り落としそうになる。

ソメイの棍には真空が渦巻き、竜巻の如く這い寄る敵を吹き飛ばす。

ばけガニの爪が首筋を掠め、血が滲む

ミャジの矢がネブドの槍へと叩き込まれる。それによって一拍遅れたはやぶさ切りの隙に捻じ込むようにヒューザが渾身斬りを放つ。

ぶつける様に強引に振り下ろされた両刃槍を間に駆け込んだアレスが雷竜の大盾で受け流す。

押し返し、押し込まれ。さながら波の如く。
そして、押し引きはいずれ渦を生む。

疑念と言う名の渦が産まれようとしていた。
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