こちらは、蒼天のソウラの二次創作です。実際の漫画のシナリオ、キャラクターとは相違点や矛盾が有るかも知れませんが、ご理解の上お進み下さい。
使わせていただいた突入部隊の方で不快な点や修正点など有れば直ぐにご連絡下さい。可能な限り早く修正・削除等対応します。
娯楽島ラッカラン。娯楽の街でありながら、その明るさを失わない絢爛の島。
カジノやコロシアムが建ち、そしてサーカスや出店が並ぶその街の中央。華美な装飾の建物が多い街中でも一際目立つ建物が有った。
『ランプ錬金ギルド本部』
屋根の上に巨大なランプの装飾と言う主張の激しい建物。
ランプ錬金を扱う者達の総本山であるこの建物は、ギルド関係者だけで無く、一時的に設備を使用する冒険者にも開放されている。
「ここでこの呪文を・・・うわわわわ!?」
その建物の一角で、ドワーフの少年『ギブ』は作業に勤しんでいる。
手元に置いていたランプから魔法の煙が溢れる。それが彼の手元に置かれた火薬玉へと向かい、魔法の効果を付与する・・・筈であった。
「あわ・・・あわわ・・・うわぁ!?」
煙が明かに意図しない形で光出す。慌てて止めようとするギブだったが時既に遅し。
周囲の職人達は慣れたもので火薬玉が光出した段階で既に退避を始めている。
そして光が一際強く輝くと・・・
ドカン!!!
爆ぜた。軽快な音と共に盛大に光と煙を撒き散らす。
「ゴホッゴホッ・・・うーん、手順は合ってる筈なんだけどなぁ・・・」
粉々になった火薬玉を見詰め、ギブは首を捻る。
手元に置いていた本を捲り哀れな残骸と見比べる。
父の書斎で見つけた古い錬金のレシピ達。少し前まではただ眺めて想像するだけだったそれらを今ではこうして実践できる。見たかった場所にも自由に行ける。それもこれも、こっちの事も気にせず先へ進む仲間のおかげだ。早々に自分の作業を見飽きてラッカラン見物へと繰り出したソウラとうりぽの事を思い笑う。
「よーし、もう一回やってみよう。今度は火薬の配合を少し変えて・・・」
気合を入れなおし、新しい火薬玉を取り出す。
ランプに魔力を通すぞとギブが気合を入れかけたところでその手を掴む物が現れる。
「おっと、それでやるとまた爆発させるぜ。」
「へ?」
ギブの腕を掴んだのは人間の男性だった。動きやすそうなクレイの服を身に纏い、首元には灰色のマフラーを巻いている。
ゴーグルの下には厳しい言葉とは裏腹に玩具を見つけた子供のようにキラキラと輝く瞳が見える。
「どちら様でしょうか・・・?」
「ああ、悪い悪い。俺の名前はマージン。一応潜入とか偵察を主に請け負う冒険者だ。」
火薬玉に送っていた熱視線をギブに戻すマージン。
そのまま彼はヒョイと軽快に火薬玉を拾い上げる。動作の軽さとは裏腹に、その手つきは柔肌に触れるかの様に丁寧でギブは目を見開く。
「これ自体は何の変哲もない火薬玉だが、レミーラの呪文を付与する事で閃光玉にするって寸法か。面白い事考えるなぁ!」
「み、見ただけでそこまで分るんですか!?」
「ん?まあ、揃えてる素材とこの火薬玉を見ればなんとなくな。」
作ろうとしてる物をズバリ言い当てられ先程とは別の意味で驚く。
一方マージンは鼻歌を歌い腰に巻いたベルトから何やら工具を取り出した。
一度火薬玉を地面に置き、ギブを近くに手招きする。
「良いか?爆弾って奴はデリケートだ。ほんの僅かな綻びが有れば、そこでヘソ曲げて爆発しちまう・・・っと、ココだ。」
「接合部の溝・・・?」
「普通に使う分には良いんだが・・・まあ、ちょっと待ってな。」
火薬玉をそれは愛おしそうに受け取ったマージン。手に持った道具を使い火薬玉に手を加えて行く。
瞬く間に作業を終えたマージンの手元には、すっかり姿を変えた火薬玉が有った。
「炸裂させた時の爆風が目的じゃないならこれで良いだろ。ほい、試しに同じ錬金をやってみな。」
ギブの目から見れば見た目こそ変わっているが同じ火薬玉。恐る恐る錬金効果の付与を始める。
ランプから煙が立ち昇り、火薬玉に吸い込まれて行く。先程は直後に爆発した事を思い出し、ギブは生唾を飲む。
一方マージンは成功を確信した顔で、出来上がる物を今か今かと目を輝かせていた。
固唾を飲んで見守る二人の視線の先、煙が段々と晴れて行き・・・
「わぁ!」
ギブが感嘆の吐息をつく。
もうもうと上がっていた煙が晴れたそこには防火布でグルグル巻きにされた火薬玉が鎮座していた。
何も言わず、ギブの背を一つ叩くマージン。
ギブは火薬玉をそっと手に取るとゆっくりと状態を確認する。
「で、出来ました!成功です!」
「やったな!」
喜色満面。ハイタッチする二人。
やったやったと喜ぶギブはふと我に帰るとマージンに疑問を投げ掛けた。