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星辰の羅刹王

ミャジ

[ミャジ]

キャラID
: PH644-410
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 120

ライブカメラ画像

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ミャジの冒険日誌

2020-10-21 19:29:31.0 テーマ:その他

闇鍋大会をしよう!【序】~プチうちよそ企画~








平穏とは、何物にも代え難い宝であると、常々『ロスウィード』は考えている。

ヴェリナードの軍人として、国に何事も起こらないに越した事は無い。
政治闘争等興味がないので放っておいて欲しい。
特に面白い事も無いので、偶には真面目に仕事をするのも良いものだ。
そんな事よりおうどん食べたい。

益体のない考え事が浮かんでは消える。手元の書類にペンを走らせながら、ロスウィードはそんな穏やかな午前の職務を珍しくも全うしていた。


だが、忘れる事無かれ。


廊下を駆ける足音が聞こえる。


平穏とは、嵐の前の静けさでしか無いと言う事を。


足音が急ブレーキを掛けた様な音と共に『執務室の前で』止まる。


だから、どうか今は穏やかなこの時間が長く続くよう、祈る様にペンを走らせる手を早める。


「鍋をするよ!!!」

・・・叫びと共に扉を蹴破る様に入室してきた大馬鹿者“ミャジ”に、ロスウィードは思わず天井を仰ぐのであった。






~~~~闇鍋大会をしよう!!【序】~~~~




“鍋”
主に煮物・汁物を作る時に利用される調理器具。


・・・であるが、ミャジの鍋を“する”と言う発言と、小脇に抱えた土鍋(主にエルトナを中心に親しまれる、陶器製の鍋を指す)から察するに、彼女の言う鍋とは、エルトナ地方を中心に伝わる煮込み料理の『鍋』の事であろう。

・・・面倒事の予感しかしない・・・

喉元まで出かかった溜息をなんとか飲み込み、魔法戦士団の制服に土鍋と言う、ミスマッチ甚しい姿で執務室の入り口に仁王立ちしたミャジに視線を戻す。

「成る程、交流目的の親睦会だな?で有れば、相応の人数を相応の手順で集めt・・・」

ロスウィードの言葉が途中で途切れる。
凝視する彼の視線の先で、ミャジは一枚の依頼書を土鍋を抱えた腕とは逆の手でこれ見よがしにヒラヒラと揺らしていた。

「もっちろん!既に依頼は出して冒険者を募ってあるよ!」


依頼書:鍋大会をするよ!

 最近寒いったら無いよね!そこで、交流の為の鍋パーティーをヴェリナード王国主催で開催するよ!
 参加条件は、具材を一種類持参する事。
 場所はヴェリナード王国の会議場を借りてあるよ! さあ、集え!冒険者!



ザックリとした内容の依頼書が頭痛を加速させる。
だが同時にロスウィードは安堵の心持ちで、ミャジに依頼書を返しながら返事を口にした。

「成る程、まさか城内の会議室でも使うのかと冷や冷やしたが、場所の選択は良いみたいだな。」

何故よりによって大事になりそうな冒険者を呼ぶのだとか、そもそんな企画を通すなヴェリナード王国とか、喉元まで出掛かった文句を封殺し、一応場所選びのセンスなどを社交辞令として誉めておく。
“だが”と前置きをした上で言葉を続ける。

「生憎、こっちも忙しくてな、残念ながら参加の方h・・・」

二度目の言葉の途切れ。それはミャジが取り出したもう一枚の書類が原因だった。
ふんすと、嬉しそうに鼻息を吐き出し無い胸を張るミャジの手から、その紙を受け取り目を通す。


指令書:ロスウィードへ

 今回の企画、想定より人数が集まる事が予想される為、ヴェリナード王国から追加で視察の人間を出す運びとなります。
 衛士団から出す案もあったのですが、やはり冒険者絡みの案件と言う事もあり、私とロスウィードに白羽の矢が立ちました。
 私は一個人として参加しつつ、後日の報告書を纏めますので、ロスウィードはミャジさんの監視・・・もとい協力して運営側に回って下さい。

 追伸:偶には振り回される側の気持ちも学ぶと良いと思います。


見慣れた筆跡は間違いなく同僚である『アスカ』の物に違いない。
書面の最後にはご丁寧にヴェリナード王国の国璽まで押されていた。
そして、どう読んでもこれは役人に対する正式な国からの指令。

軋む神カラクリの様に、書類からミャジの方へと視線を向ける。
既に目を通していたのか、ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべたミャジは、ロスウィードの肩に手をおくと、その笑顔と共に言い放った。

「一緒に頑張ろうね!鍋総司令!!!」


頭を抱える。
とは言え、準備期間が有る筈だ。設営や来場メンバーの整備などの陣頭指揮をしつつ、その隙に逃げる算段を付けてしまおう。
そんな考えを巡らせていたロスウィードの視界に、先程のミャジが提出した依頼書が映り込む。


・・・鍋大会の予定日は、何度見返そうとも今日の日付となっていた。


「無茶を言うな!!!」


執務室から準備に必要な書類を持って鬼気迫る表情で駆け出したロスウィードを果たして誰が責められるであろうか。



ともあれ、かくしてヴェリナード主催の珍妙な鍋パーティーは静かに始まりのゴングを鳴らすのであった。









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