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星辰の羅刹王

ミャジ

[ミャジ]

キャラID
: PH644-410
種 族
: ウェディ
性 別
: 女
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 120

ライブカメラ画像

2D動画 静止画
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ミャジの冒険日誌

2021-02-18 19:07:35.0 テーマ:その他

闇鍋大会をしよう!【九杯目】~プチうちよそ企画~




「あああ!?」

絶叫

「あま……にが……やっぱり甘?」

混迷

「アハハ!」

絶笑


鍋を口に運んだ事で起こった出来事とは到底思えない反応が机の各所から上がる。
前者2名は口を押さえて目を白黒させるリュゼラムと味に困惑するディンロエア。
後者は丁度惨状が開始される数秒前にこの机の様子に気付いたミャジの爆笑だった。

「いやー、ここまで何種類かヤバい鍋はあったけど、コレまた凄いね!」

まだ食べてもいない奴が何を。
そう言い返す者は一人も居ない。
と言うかそんな余裕も無い。何故ならば純粋に今食べているものが凄まじいからだ。

「うどんにクリームとトマトのスープが絡んで……」
呻く様にそう零すネコギシ。彼の言葉通り、コシが強いうどんをしっかりと噛むと、クリームの強い甘みとトマトの酸味が口一杯に広がり、そこに加熱された牛乳の生臭さが加わる。混沌とした食感と味たるや、筆舌尽くし難い。

「何故だ……匂いは美味しそうだったのに……」

真っ先に頬張り絶叫を上げていたリュゼラムが救いを求める様に美味しそうな香りを用意したテルキへと視線を向ける。
その縋るような視線にキョトンとしたテルキは、当然の事のように答えた。

「香りで味が変わる訳無いだろう?」




「リュゼラムさん!公共の場ですから!気持ちはわかりますけど!分かりますけど!!」
「止めるなディン!一発殴らせろ!」

額に青筋を浮かべて拳を握るリュゼラムを必死にディンロエアが羽交い締めにして宥める。
完全にコントとなった机の様子に相変わらず爆笑するミャジと、ため息を吐くロスウィード。
ある種トランス状態で黙々と鍋を消化するネコギシ。鍋と同等か、それ以上に混沌とした所で、必死にリュゼラムを抑えていたディンロエアが、ふと気付き声を上げる。

「あれ?そう言えばあのエルフの女の人は?」
「何言ってるんだ。ルクレツィアさんならそこに……」

リュゼラムの表情が驚愕に彩られる。
彼女は鍋を一口食べた先程までと“全く同じ姿勢で”そこに座っていた。

匙を口に含んだまま、微動だにせず。である。

「き、気絶してる……!」

異変に気付いたネコギシが近寄って確認した所、ヒャド系呪文で凍り付かされたかの様にピシリと気絶していた。

「彼女は常々トマトが好きだと言っていたからな。それで不味い料理が出来た事が受け入れられなかったのだろう」

楽な体勢にルクレツィアを動かしながら、ロスウィードは沈痛な面持ちで呟く。
予想だにしない展開に、机に重苦しい沈黙が落ちる。それを破ったのは、先程真っ先にルクレツィアの異変に気付いたディンロエアであった。

「あれ?そうするとこの鍋、一人欠けた状態で食べるのか?」


…………


沈黙

それは、噴き上げるカルサドラ火山の溶岩のように破り去られる。

「起きろ!起きてくれルクレツィアさん!」
「離れろリュゼラム君!スーツの蘇生機能を使う!」「待て待て待て!!」

スーツから伸びた先端が金属製の物をルクレツィアにあてようと手を伸ばしたネコギシをロスウィードが制する。
そうしている一方でミャジが肩を揺すり、頬を二、三度優しく叩くと、ようやくルクレツィアが身じろきと共に瞼を開く。

「あらあら~寝ちゃっていましたか~?」

のんびりとしたその呟きにひとまずただの気絶でよかったと安堵する。

一方で一人食い口が減らずに済んだ事にも安堵していたが、誰も口には出さない。

「さ、それじゃあ……残りを食べようか」
「おかわりもあるぞ!」

笑顔で半分程残った鍋を示しおかわりがある事を示したテルキに諦めた様子で残りを食べ始めたネコギシ以外の面々が硬直する。

「おじさん、おかわりとは……?」

恐る恐ると言った様子でディンロエアが右手を挙げる。

「ん?この量の鍋をそれぞれが1・2杯食べた位で完食できる訳無いだろう?それと、私はまだおじさんと言われる歳じゃぁない」

特に後半を念押しして言うテルキだったが、話を聞いていた冒険者達は前半のセリフが原因で完全に思考停止に陥っていた。

「この鍋をおかわり……?」
「このトマトを使ったとは思えない食べ物を?」
「あ、私達は主催の仕事があるのでこの辺で……」

ルクレツィアが信じられないと言う感情をこれでもかと表情に張り付ける。
逃げようとしたミャジはネコギシが投げたブーメランに足を取られ盛大に転がる。

「「か、勘弁してぇ~!!」」

リュゼラムとディンロエアの情け無い叫びが響き渡る。

まだまだ鍋は残っている。
甘く、酸っぱく、塩っぱく、苦い。
折り重なる味の重奏は始まったばかり。



九杯目目総評:言ってしまうと失礼だが、とても闇鍋らしい鍋であった。
実は私は一口も食べていない。バレなくてよかった。





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