レイジの冒険日誌

第29話「名をうばわれし王」

平和になったベクセリアの町ではルーフィン先生が考古学を教えた事を切っ掛けに勉強ブームが町中に広まってる様子。
勉強サークルまで作られて町外からも先生の教えを受けに来る人が居るほど賑わいを見せており、教育ママ達の間では我が子をエルシオン学院に入学させようと受験戦争まで繰り広げられているから凄い盛り上がりようです。
そんなルーフィン先生が生徒から気になる古文書を受け取ったそうでリリィは相談を受ける事になります。
なんでも古文書には昔のベクセリアの事が書かれており、かつて町は巨大な城塞で砲台まで設置されていたとか。
しかもガナン帝国と深い繋がりがあったというから只事ではありません。
古文書は如何せん古くてボロボロのため肝心なページが破れて読めず、ルーフィン独りではこれ以上調べようがない模様。
同じようにガナン帝国について書かれた古文書を探して来て欲しいとリリィは頼まれます。

ガナン帝国城の地下にある閉ざされた牢獄にてガナンの歴史書を発見し、それをルーフィン先生に届けるリリィ。
中身を確認して貰うと、かつてベクセリアの森には巨大な城があり聡明なガナン国王が国を治めていた模様。
しかしある日国王は暗殺されてしまい、亡きがらは封印のほこらに埋められたそうです。
その後ガナン王国は遥か東の大陸へ拠点を移し、ガナン帝国と名を変えたという・・・。
ベクセリアがまさかのガナン帝国の起源だと判明してリリィ達は衝撃を受けます。
この事が知られたら大変な騒ぎになると、リリィに秘密にしておくようお願いするルーフィン先生です。

病魔パンデルムが封印されているほこらの地下を彷徨っている幽霊の王様。
自分が何者なのか何も覚えてないようで、自分の存在を表すものを奪っていったＳキラーマシンと戦い、それを盗んで来て欲しいとリリィに告げます。
褒美目当てにお願いを聞いてあげ、お宝の地図の奥でＳキラマから国王の印章を盗んで持ち帰ると、幽霊の王様はそれを見て自分がガナン国王だった事を思い出した様子。
その後ガナン国王は成すべき事があると言い残し、いずこかへと消え去ってしまいます。

ガナン国王を探して帝国城へ向かったリリィは、そこでギュメイ将軍の幽霊と遭遇します。
ギュメイ将軍の話によると、世界征服の野望を実現させようとしていた若かりしガナサダイがある日、その心の内を彼に打ち明けた模様。
ガナサダイは国王が生きている限りガナン王国の頂点には立てないと考え、父親の暗殺を決行したというから衝撃的です。
忠義に厚いギュメイ将軍はもちろん反対したそうですが、ガナサダイ王子の意思は固く蛮行を止められなかったそうな・・・。
その後、父を殺して皇帝となったガナサダイは自分より強い者が現れるのを恐れ、捕らえたエルギオスの天使の力を利用して強大な魔帝国を建国したといいます。
逆らう者は容赦なく始末して来た冷酷非道なガナサダイ皇帝でしたが、結局野望は果たせず朽ち果てたから悪の栄えた例はありません。
自分を暗殺した息子を探して彷徨うガナン国王を思って悲しみ、悪霊と成り果てた彼を安らかに眠らせてやって欲しいとリリィに頼むギュメイ将軍です。

皇帝ガナサダイを探して玉座の間で怒り狂う名をうばわれし王と対峙するリリィ。
なだめるを使って切々と話し、気分を落ち着かせてあげるもののすぐにまた怒るのでキリがありません。
仕方ないので普通に倒してしまうと、冷静さを取り戻したガナン国王は自分がガナサダイの父ガンベクセンだった事を思い出します。
ガンベクセンは愚息を止めなければ世界が滅びてしまうと責任を感じていたようですが、リリィが既に倒したと知って一安心した様子。
息子の心を分かってやれなかった愚かな父だったと後悔しながら消えていきました。

ギュメイ将軍にガンベクセン王の最期を報告すると、鬼の目にも涙ならぬ豹の目にも涙を流して主人の死を悼みます。
王は聡明で国民に慕われながらも孤独であり、誰からも理解されず家臣も理解してあげられなかったと悔やんでいる様子です。
世話を掛けたお礼にとリリィに王者のマントと王国秘伝のレシピを授け、最早悔いはないと別れを告げて消えていくギュメイ将軍。
世界に混乱をもたらした魔帝国の歴史はこれにて終わりを告げ、誰も居なくなったガナン帝国城を後にするリリィです。 異界アスタルジアとして甦りました！