以前に書いた「復讐の龍虫」の後編です。
前編のあらすじ
忠義心溢れるリザードマンたちの竜王の前での御前試合最中、敵襲警報が竜王城に響きました。
敵はどこだ~!
竜王の護衛団の声が響きます。
あいつだ!
リザードマンたちが見た方向にいたのは、キャタピラーでした。
「なんであんな奴がこの城に1匹で攻め込んできたんだ?」
「疑問はもっともだが、今は竜王様に仇名すあいつを捕らえねば。」
「そうだな。」
リザードマンの1匹が、侵入者のキャタピラーにさみだれぎりを放ちました。
それを受けたキャタピラーはダメージを受けたものの、倒れませんでした。
「なにげにしぶといな」
すると、キャタピラーはそのリザードマンに体当たりをしました。
ぐわっ!
「なんだ、あいつ。」
「油断するな!おい、来い!」
別のリザードマンが招集の発声をすると、キメラがやってきました。
キメラがキャタピラーをつつこうとしますが、キャタピラーはそれを避けて、キメラに体当たり。
キメラはその場に倒れました。
そして、そのままリザードマンの護衛団に向かって、キャタピラーは火の息を吐きました。
ぐおおお!
あっちー!
リザードマンたちはキャタピラー1匹に苦戦しています。
「こいつ!それなら、これでも喰らえ!」
護衛団の団長のリザードマンがギガスラッシュを放ちました!
ここまで善戦したキャタピラーも、これにより瀕死の重傷でした。
「へ、芋虫の分際で。」
「大丈夫~?」
そこへ現れたのはキリキリバッタでした。
そのキリキリバッタはキャタピラーに薬草やアモールの水を与え、体力を回復させました。
「ありがとう、母さん」キャタピラーはお礼を言いました。
「なるほど、そういうことか」
「こ、この声は、竜王様!」リザードマンたちがうろたえます。
キャタピラーやリザードマンたちの前に竜王が現れます。
「お前はドラゴン系の魔物とそのキリキリバッタの間に生まれたのだな?」竜王が尋ねます。
「そうだ。昔のお前は、些細な理由でオレの父を処刑した。その復讐に来たのさ。」
「ほう、それなら、かかってくるのか?」
「もちろん!」
「なら、来るがいい。この竜王直々に相手をしてやるわ!」
まずはキャタピラーが竜王に一撃を与えます。
「む?」
「効いたみたいだな?」
「なかなかなものだ。それならば。」
「まさか、竜王様、こんな相手に・・・」
そういうと、竜王は変身をしました。
キャタピラーは怯む事無く攻撃します。
ぐわっ!
相手が変身後の竜王であっても、キャタピラーの一撃は通じるようです。
しかし、竜王はそのまま激しい炎を連発し、さすがのキャタピラーも耐え切れず、瀕死になりました。
竜王は人間体へと戻りました。
「く、くそぉ・・・」キャタピラーが弱々しい声を出します。
「・・・・・・」
すると竜王はキャタピラーにべホイミを唱え、膝をつきます。
「かつて、邪悪な者に操られていたとはいえ、お前の父を殺したのは私だ。
そうした過去の罪の償いになるかはわからぬが、
こうして、魔物たちを統率し、その平和秩序の維持こそが私の責務だと思っている。
お前にはすまないと思う。だから、こうして頭を下げる。」
「竜王様、そのような下級な魔物に頭を下げられる必要はありません。」リザードマンが言います。
「だまれ!」竜王が叫びます。
「魔物たちの平和維持のため、私はこのように生きている。
そして、お前さえよければ、この平和維持の為に、このリザードマンの兵団に加わってほしい。
お前の実力は先ほどの戦いでよくわかった。」
「竜王、様・・・」
「それでも、気に入らないのであれば、この場で私を殺すがいい。」
「う・・・」
それから月日が経ち、人々は時々リザードマンの兵団に混じるキャタピラーの姿を見る事があったそうです。
その様子を竜王が所持するレッドオーブに映りこみました。