| ついこの間【バージョン1.3】をリリースしたばかりな気がするんですが、今はもうスタッフ総員【バージョン1.4】の追い込みでエンジン全開です。 忙しい時期と重なってしまって、今回の「開発・運営だより」も少し遅れてしまいました。すいません。
それにしても早いもので、アストルティアの誕生から9ヶ月になろうかという今日この頃、アストルティアを旅する冒険者の皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
こんにちは、ドラゴンクエストX ディレクターの藤澤です。 |
前回と今回の「開発・運営だより」の間に、自分たち開発・運営スタッフの念願でもあった初の公式オフ会「ドラゴンクエストX 春祭り」を開催できました!
会場まで足を運んでいただいた皆さん、寒い中、長時間お並びいただくことになってしまい本当にすいませんでした。
また、長時間配信映像の方にお付き合いいただいた皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんのおかげで、一生でもなかなか体験できないような楽しい2日間を過ごすことができました。
見られなかったーという方は、広報担当のリーリナがレポートをまとめているので、こちらをご覧ください。
リーリナの「ドラゴンクエストX 春祭り」突撃レポート
春祭りの「ぶらりさんぽ」のコーナーで撮った記念写真ですが、お披露目する場がないので、ここに何枚か貼っておきます(笑)。写ってる人はいますかね。
(ぶらりさんぽ画像 カルデア山道)
(ぶらりさんぽ画像 ゴブル砂漠西)
(ぶらりさんぽ画像 キュララナ海岸)プロデューサーの齊藤とも話していますが、今度は東京以外の都市でも公式オフ会をやりたいなと思っていますので、また開発・運営スタッフと皆さんがお会いできる日を楽しみにしています。
さて、ちょうどその春祭りの前後、3月29日(金)~4月4日(金)の期間に、第2回目となる「ドラゴンクエストX アンケート」を実施しました。
今回の「開発・運営だより」第7号では、このアンケートの結果を皆さんと共有しながら、ドラゴンクエストXの今とこれからについて、ゆっくりとお話でもしていければなと思います。
第2回 ドラゴンクエストXアンケート集計結果
今回のアンケートは、同時期にWii U版のベータテストを実施していたこともあり、「すでに遊んでいる方」と「ベータテストで初めて遊んだ方」の2つに質問内容を分けて実施しました。
今日見ていただくのは、そのうち「すでに遊んでいる方」に該当する【7万4,376件】の回答をベースとしたものです。
今回もたくさんの方にアンケートにご協力いただき、ありがとうございました!
バトル満足度について
前回のアンケートにも同じ設問があったものは、前回の結果との比較という形で見ていこうと思います。
バトルに関しては、前回のアンケートから継続して要素追加&改善を続けているところなので、着実に満足度が上がっていることに少しほっとしています(笑)。
皆さんもご存知の通り、ドラゴンクエストXのバトルは、ドラクエ過去作と比べて非常に大きく変わったところです。
違和感を持たれる方が多いんじゃないかと藤澤は懸念していたのですが、それがこれほど多くの方から満足の声をいただけていることに少し驚いてもいます。
このバトルが、ドラゴンクエストのバトルのひとつのスタイルと認識され、浸透を始めたように感じています。
多くのプレイヤーにとって、バトルはもっとも時間を費やすコンテンツなので、今回の結果で充分とは思わず、今後もより満足度を高めていけるように改善努力を続けていきます。
この設問は、今回のアンケートから新設しました。
悪い評価ではありませんが、バトルと比べると高い満足度とは言えません。
理由は様々と思いますが、成長システムの満足度は、ゲームに費やせる時間など、プレイヤーごとの生活環境によって好みの分かれやすい部分と認識しています。
現在のドラゴンクエストXの成長システムは、パッシブ(※スキルで得られる「こうげき力+5」などのパラメータアップ系効果のこと)の影響比率が高めであることから、よく言えば「時間を費やせば強くなれる」、悪く言えば「強くなるためには時間が必要」という性質になっています。
好みの分かれやすいシステムであると理解していますが、藤澤としてはこれでよいと思っています。
ゲームにおける「成長」とは、「キャラのパラメータ的な成長」と「プレイヤーの技術的な成長」があり、その両方が重なって実感できるものです。
これはドラゴンクエストXでも変わりませんが、それぞれをどの程度重視するかはゲームによって異なり、ドラゴンクエストシリーズは前提として「多くの人が遊べること」を優先したいと考えます。
「プレイヤーの技術的な成長」を重視するゲームも面白いのですが、どうしてもできる人とできない人に分かれてしまうため、そちら側ではなく「キャラのパラメータ的な成長」、すなわち「時間を費やせば強くなれる」ことを重視した成長システムであるべきだと考えています。
方針は方針として今後も大切にしていきますが、その中で、様々な環境にあるプレイヤーの皆さんから、より面白い、より納得感が高いと感じていただける成長システムを目指して、今後も試行錯誤を続けていきたいと思います。
ストーリー満足度について
前回のアンケートでとても高い評価をいただいたメインストーリーですが、引き続き高い評価ではありますが、少し下がってしまいました。
これは、発売日以降9カ月近くメインストーリーの追加がない状況なので、「はやく追加のメインストーリーを!」というご要望の表れと受け止めています。
多くのオンラインゲームが、大型アップデートに合わせてストーリーを追加していく中で、ドラゴンクエストXは最初のリリースで全ストーリーを公開しました。
このやり方には反対意見もあったのですが、ドラクエ好きの人は、とにかくストーリーを早く終わらせることを楽しむ「早解き派」も多いだろうと思ったので、最初からストーリーは全部ある状態でのリリースとしました。
なので、その分お待たせする時間が長くなってしまうことは覚悟の上でしたが、追加ストーリーを望む声が高まっていることはちゃんと認識していますので、ご期待に応えられるように着々と準備中ということはお伝えしたいと思います。
春祭りの「開発者ステージ」でも少し触れましたが、「配信クエスト」のストーリーに関しては、成田をはじめとするメインシナリオスタッフがシナリオ制作と同じくらいの時間をかけて作ったものです。
メインストーリーの追加がない分、ここに特に力を入れたのですが、それが多くの方に楽しんでいただけていることがわかってよかったです。
「配信以外のクエスト」については、機能解放などがメインなことからストーリー性が乏しく、単なるハードル的に受け止められがちな部分があるかもしれませんね。
こちらは、今後要改善すべき項目と認識して、改善を図っていきたいと思います。
操作性満足度について
こちらも、前回のアンケートから評価が順調に上がっています。
藤澤はインタフェースオタクと言ってもいいほど操作性には徹底的にこだわるので、個人的に今回のアンケートでこれが一番嬉しかったかもしれません(笑)。
ドラゴンクエストXは、従来のドラクエと比べてプレイヤーの出来ることが格段に多いですが、それでも従来のドラクエと同じわかりやすさを維持できるようにと常に気を配っています。
操作性はゲーム以前の部分ですし、そこで引っかかるのは嫌ですしね。
また、すでに完成が見えつつある【バージョン1.4】でも、ところどころ大きく便利に変わっていますので、そちらも楽しみにお待ちいただければと思います!
コミュニケーション機能満足度について
前回のアンケートでは、「チャット・フレンド・チーム」などのコミュニケーション機能を全部込みと、設問を大きくまとめ過ぎていたので、今回はひとつひとつ分解しました。
その前回の「全部込み」と今回の「チャット機能」の比較なので、あまり正しい比較ではありませんが、一応こちらを並べています。
チャット機能は、まだまだ評価が不充分なところと認識しています。
誤爆防止機能や無操作時のメッセージ残り機能といった具合に、少しずつ改善を重ねていますが、正直まだまだです。
最大のネックである変換機能の不自由さについては、【バージョン1.4】で少し改善されることと、単語登録機能もなんとか実現できそうですので、今後も一歩一歩着実に改善を重ねていければと思っています。
こちらはフレンド機能単体としては初めての設問ですが、評価は普通と受け止めています。
プレイヤー同士のフレンド関係の形成が徐々に成熟してきているので、この辺りは今後重点的に利便性を高めていきたいと思っているところです。
こちらもチーム機能単体としては初めての設問です。
予想していたよりも「未使用」の回答が少ない印象ですが、フレンド機能よりも厳しい評価と認識しています。
現状でもチームを楽しんでいるプレイヤーさんはたくさんいますが、【バージョン1.3】まではチームの機能が事実上「専用チャット」と「エンブレム」しかない状態でしたので、こういう評価となるのも当然と思います。
チームの機能については、【バージョン1.4】にて、かなり時間をかけて練りこんできた新システムがたくさん実装されますので、次回のアンケートでは、ここのスコアが大きく改善されるようにがんばります。
おしゃれ系システム満足度について
【バージョン1.2】【バージョン1.3】でそれぞれ追加したおしゃれ系の施設についても、アンケートに満足度の設問を新設しました。
藤澤の志向が偏ってるのかもしれませんが、もっと強さばかりにこだわって見た目なんて気にしない人が大半なものかと思っていました(笑)。
なので、おしゃれ系施設がこんなに利用されているというのは、正直なところ、少し予想外ではありました。いいことなんですが。
実際に利用している人の満足度としては、「カラーリング機能」は評価が高めで、「ドレスアップ機能」は普通という感じでしょうか。
せっかく予想以上に利用してもらっているので、今後もこれらの機能はもっと利用してもらえるよう工夫していきたいと思います。
要望として熱いのは値下げでしょうかね(笑)。
その他システムプレイ頻度
前回のアンケートでは、「職人システム」は満足度についてご意見をいただきましたが、継続的に遊ぶコンテンツなので、今回からはプレイ頻度の質問に変更しました。
多くの人に遊んでもらえているなと思う一方で、「今は遊ばない」という方もやや多めな印象なので、より楽しめる職人システムであり続けられるように開発内でもさっそく検討をしたいと思います。
家の各種機能の利用頻度について伺いました。
「家は普通に使ってるけど、“遊びますか?”って聞かれると答えに困った」と何人かの方から言われたので、こちらは質問内容が適切ではなかったですね。すいません。
次回のアンケートでは、質問内容を変えたいと思います。
「畑(花の栽培)」は、利用者が多いですね。
【バージョン1.3】で機能実装をして、色々と不便に感じているというご意見をたくさんいただいています。
まだまだカラーリングの需要も高いので、ここは今後も利便性を高めていきます。
「モーモンバザー」は反対に利用者が少なめですが、正直なところ、これはこんなもので適切かなとも感じます。
多くの人が売り手となる必要はありませんので、今後は買い手となるプレイヤーさんが今よりも増えていくように工夫していきたいと思います。
【バージョン1.2】で追加された「魔法の迷宮」ですが、こちらは現在も安定して遊ばれ続けており、押しも押されもせぬ主要コンテンツのひとつとして定着したように思います。
今後も随時要素追加は行っていきますので、こちらは引き続きお楽しみいただければと思います。
【バージョン1.3】で追加された「日替わり討伐クエスト」ですが、魔法の迷宮ほどではありませんが、こちらもかなり安定して遊んでもらえているようです。
開発内では、日替わり討伐クエストを「もっとお得に! わかりやすく! 面白く!」という号令を出して、実に様々な改善を実施しました。
これまでも遊んでいた人には進化を感じてもらえると思いますし、遊んでなかったよという人にも充分に楽しんでもらえるようになったと思うので、【バージョン1.4】以降に、ぜひお試しいただければと思います。
「目覚めし冒険者の広場」満足度
「遊んでいない時にもゲームと関わる窓口になるような、ゲームと連動したサイトを作りたい」という理想を掲げて作り続けてきた「目覚めし冒険者の広場」ですが、ドラゴンクエストXで遊んでいるプレイヤーの皆さんの多くに利用してもらえるようになり、今ではすっかりゲームの一部として定着した感すらありますね。
広場の開発チームはゲームとは別チームなのですが、今回ここにとても高い評価をいただけたことは、彼らにとって非常に大きな励みとなります。ありがとうございました。
そういえば、いつまで経ってもオープンしない「準備中」のページなどもありますが(苦笑)、こちらも本当にそろそろオープンできそうな気配になってきたので、もう少しだけお待ちください。
総括
今回のアンケートで、藤澤がもっとも皆さんに伺いたかった項目がこちらになります。
これはもう、何も言うことはありませんね(笑)。
今自分たちがやるべきことは、はっきりと定まりました。
これまで「予兆」という形で進行してきた『神話篇』が、【バージョン1.4】でいよいよ本格的に始動します。
今皆さんが見ているアストルティアは、あくまでも「今」のアストルティアの姿に過ぎません。
この言葉の意味は、【バージョン1.4】の頭でご理解いただけると思います。
最後に、「ゲーム全体の満足度」と「今後も遊び続けたいか」の意識調査となります。
この結果を良いと取るか悪いと取るかは皆さんの解釈にお任せしますが、前回のアンケート同様に、ほとんどの人から「遊び続ける」と言っていただけていることは、「今後もがんばれ」とエールをいただいたのだと受け取ります。
開発・運営スタッフ一同は、今後もプレイヤーの皆さんにとって楽しい(※居心地が良く、挑戦心を掻き立てられる)アストルティアを作り続けられるように努力していきます。
ですが、時には行き過ぎてしまったり、さじ加減を誤ったりということもあるかと思います。
自分たちの向かっている方向が本当に正しいのかを定期的に確認させてもらうために、今後もアンケートは実施していきます。
ここは、皆さんのアストルティアです。
また次の機会にも、ぜひアンケートにご協力いただければと思います。
おわりに
| アンケート結果をディレクターがどう受け止めたかを述べることは、アンケートにお答えいただいた皆さんのご協力にお応えする上でも大切だろうと思いましたので、今回はかなり長めに思ったことを率直に書きました。
割と何度か話しているのでご存知の方はご存知ですが、藤澤は当初ドラゴンクエストの本編をオンラインゲーム化することに反対していました(笑)。 |
それが結局やってみようと思うに至ったきっかけはいくつかあるのですが、そのうちのひとつが、「もしかしたら、このゲームをドラクエ好きが集まるテーマパークのような場所にできるかもしれない」と思ったことです。
作っている最中にはまったく夢みたいなことでしたし、発売した後もまだまだ夢みたいなことでした。
ですが、発売から時間が経って、アンケートで皆さんからご意見をいただいたり、「春祭り」のようなリアルイベントで実際に皆さんと顔を合わせたり、一緒にゲームで遊んだりしているうちに、夢が少しずつ現実になりつつあると実感しています。
ドラゴンクエストIXの出荷本数は、およそ440万本です。実際に遊んでくれた人の数は、これ以上だと思います。
それと比べると、ドラゴンクエストXを遊んだことがあるプレイヤーさんの数は、まだまだ少ないです。
「オンラインゲームだからプレイヤー数が少ないのは仕方がない」という方もいますが、自分はこれを言い訳にはしたくありません。
過去作を遊んでいたドラクエ好きの人全員にドラゴンクエストXで遊んでもらうことが、自分の目標です。
この目標が実現できたら、本当の意味で「ドラクエ好きが集まるテーマパーク」の夢は実現したと言えると思うので、あくまでも最終目標はそこに置いて、開発・運営スタッフ一同でがんばりたいと思います。
では、今後もドラゴンクエストXをよろしくお願いします。
2013/4/26 ドラゴンクエストX ディレクター 藤澤