ミラージュの冒険日誌

ガタラ防衛戦線異状なし(3)～なりきり冒険日誌

　カルサドラ火山から吹く渇いた風が、火山灰と共に私の背びれを撫で、ガタラの町並みを通り過ぎる。石造りの家屋は全体的に小ぶりで、派手さはないが質...

ガタラ防衛戦線異状なし(2)～なりきり冒険日誌

　鉱石ランプが無機質な光を投げかける。揺らめくこともなくただ均等に、卓の上と、不機嫌なダルルと、顔をひきつらせた私とを無慈悲に映し出す。 　私に...

ガタラ防衛戦線異状なし(1)～なりきり冒険日誌

　卓上の鉱石ランプが、酒瓶を鈍く照らした。 　肘をつくとガラスの中の液体が微かに波打つ。 　やがて私の待ち人が現れ隣に腰掛けると、その波はさら...

続・魔界大戦(エピローグ)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　戦のあと。 　ベルヴァインの木々が静かに揺れる。 　重々しく歩を進める軍馬の足音が、霧深い森にこだました。 　静かに振る雨の音が、戦の熱と勝利...

続・魔界大戦(5)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　王と冒険者が肩を並べ、最後の戦いへと赴く。 　魔界大戦。この英雄叙事詩も、いよいよ終章を迎えたようである。 　地響きが魔導城を揺るがす。魔人...

続・魔界大戦(4)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　王太后の魔杖が光を放ち、二度目の魔光照射を強行する。魔人は苦しみ悶えながらも、第三の目から次なる光条を打ち出した。 　二発分の魔光が氷の魔女に...

続・魔界大戦(3)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　ファラザードの進撃は続く。城門は既に破壊されていた。バルディスタの先行部隊だ。派手にやったらしい。おかげでファラザード軍は素通りに近い形で城内...

続・魔界大戦(2)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　魔導兵が魔力を込めた矢を放つ。鈍く輝く矢の雨を掻い潜り、ファラザード軍は進撃した。 　私は盾を構えつつゆっくりとユシュカ王の後を追う。パラデ...

続・魔界大戦(1)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　ゲルヘナ幻野の東、入り組んだ岩石荒野を抜けた先に、深く広大な森林地帯がある。 　妖しく輝く魔界の陽光を樹々の青葉が受け止め、銀の木漏れ日が幽...

王の再起(4)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　その日、ユシュカは誰にも会わなかった。 　見回りの兵たちも、誰に頼まれたのか、その日だけは王の部屋に近づかなかった。 　月の光は、ゲルヘナに...

王の再起(3)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　妖精が手を振ると、イルーシャは少し疲れた笑顔を返した。リルリラは彼女の傍らに飛び寄った。 「王様、まだ元気でない？」 「ユシュカは今、痛み...

王の再起(2)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　砂の都に影が落ちる。バルディアの会戦から一巡り、戦況はやや停滞していた。 　商人として再起を支援する傍ら、私は自分なりに状況を分析していた。...

王の再起(1)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　ファラザード宮殿の一角。ベンガルクーンのニェルニャン氏は猫背を丸めながらため息をついた。 　経理事務室の机の上には、赤い棒線が引かれた会計書...

魔界大戦(4)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

「何だ！？」 　兵たちが騒めいた。 　轟音と共に地が揺れた。禍々しい光が天から注ぎ、全てを蹂躙する。光条が戦場を薙ぎ払う。ファラザード兵が、...

魔界大戦(3)～なりきり冒険日誌【※ver5.1に関する記述有り】

　戦いは続く。 　果てしない戦場の片隅で、王たちの一騎打ちが、まさに始まろうとしていた。 　自ら生み出した氷柱の上に立ち、槍先から凍てつく吹...